──子どもが想像力の羽を広げる絵本。教育のツールにもなるそれは、健全な物語が描かれていなければならないし、我が子に役立つ教訓が説かれていなければならないと多くの親は思うだろう。だが、そんな世間一般のイメージを打ち破るヤバい絵本が、この世には存在するのだ。 子どもの想像力をかき立てるべく親が読み聞かせる絵本は、健全な内容でなければいけない──。そんな暗黙のモラルがあるならば、あまりの恐ろしさに子どもがトラウマになるようにも思える絵本は、禁忌に抵触しているのか? 絵本作家養成の「あとさき塾」を共同主宰する編集者・小野明氏はこう話す。 「残酷さを一種のタブーと考えるなら、約150年ほどの近代絵本の歴史において、1847年に原書がドイツで刊行された『もじゃもじゃペーター』は古典的な名作として知られますが、かなり怖い。マッチで火遊びをする女の子が焼け死んだり、おしゃぶりの癖が治らない男の子が仕立て屋