この秋は九州から離れられそうにない。週末ごとに各地で話題の展覧会やアートイベントが相次いでオープンしている。そのなかから、もっとも目が離せない、別府の「混浴温泉世界2012」の内覧バスツアーに参加してきた。 「混浴温泉世界」は今回で3年ぶり2回目の開催(2009年の第1回については、本連載でも紹介した)。雲一つない完璧な秋空に恵まれた内覧当日、北浜海岸では、クリスチャン・マークレーの旗が強い海風にたなびき、鉄輪温泉の噴出する激しい蒸気にチウ・ジージェの作品が燻される。人気のない楠銀天街が、東野祥子らの廃材によるインスタレーションによって、劇場空間に生まれ変わろうとしている。小沢剛はそのショーウインドウの隙間に、さまざまなタワーの建設を試み、廣瀬智央は、かつては遊郭が立ち並び賑わいを見せた浜脇地区の築100年の長屋を建築家らと再生し、新たな空間を立ち上げる。バスツアーは続いていく。天を仰ぎ、