お年寄りの食事を手伝うサンドラ・オタカンさん=福島県白河市の「小峰苑」、斎藤写す 東日本大震災で震度6強を記録した福島県白河市で、フィリピンから来た女性たちが老人ホームで献身的な介護を続けている。原発事故の影響に不安を抱え、帰国を請う家族に心揺れながらも、お年寄りに寄り添い続けている。 約80人が入居する白河市新夏梨(しんなつなし)の特別養護老人ホーム「小峰苑」。介護士の資格を取るために実習中のジェンマ・ファナイさん(45)はその時、施設内のソファに座って、入居者と片言の日本語でおしゃべりを楽しんでいた。 経験のない揺れ。建物がきしみ、体がこわばる。閉じこめられてはいけない――。とっさに走って窓を開けた。「本当に怖かった。でも、皆さんがいたから、私がしっかりしなくてはと思った」。揺れがおさまると、入居者一人ひとりに声をかけながら上着と毛布を配った。「だいじょうぶ。寒くない?」 来日