昨年春先あたりから兆候の見られたグローバルSPAの陰りが次第に顕著になって来た。国内では覇者ユニクロが勢いを失ってローカルなカジュアルチェーンへ顧客が回帰する流れが広がり、米国でもファストファッションからカジュアルチェーンまで失速や破綻が広がり、EU離脱に揺れる英国からも破綻の情報が伝わるなど、世界のSPAチェーンは転換期を迎えているようだ。 小売業態には「小売りの環論」という米ハーバード大のマクネア教授が60年も前(1958年)に提じた仮説があって、『規模の拡大が運営コストの肥大を招いて競争力が損なわれ、低コストな新手に取って代られる』とされる。製造業の場合は規模の拡大がコストの低下に繋がるのに小売業は逆なのには二つの理由がある。マクネア教授は指摘しなかったが、1)大手小売業と言えども生産ラインと直結した調達体制ではなく随時的(継続的でない)買い手に留まる、2)商物一体の流通システムゆえ