中国ではホットなニュースが次から次へと代わり、大炎上した事件もまたたく間に忘れられていく。日本だって似たようなものだが、市民生活を一変させたコロナによる都市封鎖ですら、「そういえば大昔にそんなこともありましたな」的な反応で帰ってくることが多いのだ。 筆者はこれを〝偉大なる忘却力〟と名付けている。人々の注目をひくニュースが次から次へと飛び交うアテンションエコノミー(関心経済)の時代だけに、何事もさくっと忘れられていくわけだが、世界一のスマホ大国である中国ではそのスピードが半端ない。 また、中国共産党の鶴の一声でそれまでのルールががらりと変わってしまうお国柄、これも忘却力を高める要因になっているように思う。中国人の忘却力をテーマとしたSF小説に、陳冠中『しあわせ中国 盛世2013年』(辻康吾監修、舘野雅子・望月暢子訳、新潮社、2012年)がある。政府の暴政、弾圧を誰も覚えていないのはなぜか?

