10日エントリではサイモン・レン−ルイス経由でドイツのハイパーインフレへの記憶に関する一つの見方を取り上げたが、そのエントリでレン−ルイスは、なぜドイツではケインズ経済学が異端となっているのか、と問うている。マクロ経済学の教科書は他国と同様にケインズ的であるにも関わらず、経済専門家委員会ではPeter Bofingerしかケインジアンがおらず、しかもこうしたケインジアンが少数派となっている状況はドイツでは普通であるとBofinger自身から聞いたという。ユーロ圏の緊縮政策がもたらした損害、および、それにドイツの政策観が果たした中心的な役割を受けて、レン−ルイスはこの疑問を長年抱いてきたとの由。 その理由としては、ハイパーインフレの記憶と債務を忌避する文化の2つが挙げられるが、レン−ルイスはいずれにも否定的である。というのは、いずれも公的債務が他国より低いことを含意するが、そうはなっていない