聞き手/ジャーナリスト 青木 理 『釣りバカ日誌7』のエンドロールには、二つの電力会社と「日本原子力発電株式会社」の名前がクレジットされている。美しい漁港を舞台とする映画に、なぜ原子力関連企業の名が現れたのか---。 『釣りバカ』のロケ地も壊滅 「地震が起こってからはとても憂鬱な気分が続いているね。津波で被害にあった町のなかには、映画の撮影でお世話になった町もあるし、放射性物質が垂れ流されたことで、海が汚れてしまった・・・」 こう語るのは栗山富夫氏(70歳)。人気映画『釣りバカ日誌』の元監督である。今回の地震と津波で多くの町や漁港が壊滅し、原発事故によって日本の海が汚染されたことに大きな悲しみを感じている、と明かす。 栗山監督は、『釣りバカ日誌』シリーズの第1作目(1988年公開)から10作目(1998年公開)までを手がけた。その撮影地を並べてみると、原発のある町、原発に近い町が多かったこ