12年ぶりの日本製ゴジラとして大ヒットした『シン・ゴジラ』。62年前、水爆実験の落とし子として生まれたゴジラが、3.11(東日本大震災と福島第一原発事故)を経た日本で、どのように蘇ったのか? 観た人誰もが語りたくなる「シン・ゴジラ」の意味と意義を、特撮研究の第一人者が解き明かす。 特撮の新たな可能性を求めて 庵野秀明総監督・樋口真嗣監督の『シン・ゴジラ』は、2016年の最も重要な実写映画となった。それだけでなく、観客が鑑賞後に自説を語りたくなったことでも、大きな話題を巻き起こした。日本政府の政治家・官僚たちを主役に据えた点、徹底したリアリズムでゴジラ災害の描写に福島第一原子力発電所の事故対応を想起させる描写を重ねた点など、論点は数多い。 日本の理想と現実のギャップをゴジラという無限パワーを持つ異物で照射し、原始的な畏怖心を喚起したことで、一般的な拡がりを持つ話題作となったのだ。これまで、「