ウォルト・ディズニー・スタジオの上層部は祝賀ムードに浸っていた。制作に5年の歳月と2億ドルの費用を費やした実写映画『ムーラン』がディズニーのストリーミングサービス「ディズニープラス」に登場し、好評を博していたからだ。美しい背景映像と手に汗握る戦闘シーンを評論家は高く評価した。 『ムーラン』のオンライン配信が始まったのは9月4日。その頃には、ディズニーが白人の主演女優をキャスティングしているというデマや、出演するスター俳優が香港警察への支持を表明したことに端を発するボイコット運動など、制作段階でこの映画を悩ませてきたさまざまな論争の大半が消えうせていた。重要市場の中国も含め、世界的なヒットの可能性は高いと思われた。11日に劇場公開された中国でディズニーは、この映画によって中国人のハートと財布をがっちりとつかむもくろみだったのだ。 「いろいろな意味で、この映画は中国へのラブレターだ」と、『ムー