歴史のある文庫本や新書本の最後のページを見ると発刊の辞という文章が書かれている。文庫や新書を発刊したときの、発行人の意気込みが熱く語られて いる。プロの出版人が書いただけあって、含蓄のある文章が多い。読んでいると、日本の敗戦の精神的な痛手が如何に大きいものであったか、焦土と化した国を 本と言う文化的なメディアでもう一度興していこうという志が読み取れる。何もかもが充足しているように見える現代社会において忘れ去られていたものがここ にある。 ------------------------------------- 若い読者に 童話屋 田中和雄 僕たちが住んでいる地球は、広大な宇宙の太陽系第三惑星と呼ばれる青い星・・・美しい楽園だ。楽園には摂理がある。春が来て冬が来る、朝があって夜 がある。鳥はうたい、木は繁り、果実は実る。人は生まれ、生き、死ぬ。億という歳月をかけて地球は楽園になった。