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ブックマーク / cruel.org (3)

  • トマス・カーライル (Thomas Carlyle)

    トマス・カーライルはスコットランドの陰気な隠者にして、きわめて影響力の高い作家。イギリスにおけるヨハン・ウォルフガング・フォン・ゲーテの弟子であり、ドイツロマン主義の後継者。若かりし日にはまた、サンシモン主義がかなりお気に入りで、チャーチスト運動も支持していた。だが後年にかれが政治経済問題についての立場は、反動トーリー主義に近いものだった。 カーライルは、当時イギリスに誕生しつつあった工業社会に対する、情熱的で説教師じみた反対で有名だ。その見解は『チャーチズム』(1840) や、特に『過去と現在』 (1843) によくあらわれている。後者はフリードリッヒ・エンゲルスの愛読書だった。カーライルは経済学者でもなく、学者ですらなかった。むしろ旧約聖書の預言者に近い。経済学者や経済学に対する根っからの蔑視は有名だ——経済学を「陰気な科学」と名付けたのはカーライルだ。その見解によれば、産業革命の弁明

  • スコットランド啓蒙主義 (Scottish Enlightenment)

    スコットランドがイングランドと合併したのは、公式には1603年、スコットランドのジェイムズ六世王がイングランドの冠をひきついで、イングランドのジェイムズ一世王になったときから始まる。でも両王国は、理論的にはまだ別物で、ただ両者の冠がたまたま同じ頭に乗っかっているというだけだった。これは 1707 年の合併法まで続いたが、この法律でイングランドとスコットランドの両王国は永遠に合併された。 1707 年以前には、この両国の間には驚くほど接触がなかったし、またお互いにいい感情も持っていなかった。スコットランド人はみんな長老派かジャコバイトて、それだけでもイングランド人口の 8 割とは疎遠になる。スコットランド人のほとんどは南に旅したことがなかったし、北に旅したイングランド人はもっと少なかった。スコットランドの伝統的な味方フランスは、イギリスの伝統的な敵だった。スコットランド人の学者や司祭は、教育

  • ケインズ『雇用と利子とお金の一般理論』要約

    ケインズ『雇用と利子とお金の一般理論』要約 by 山形浩生 (with Special TNX to 能登麻実子氏……の2ちゃんねるに巣くうキモヲタファンども諸賢) 能書き これは、John Maynard Keynes The General Theory of Employment, Interst, and Money (1936) の要約版だ。邦題は今まで『雇用、利子および貨幣の一般理論』(東洋経済、岩波文庫)だったものだが、「money」ということばを「貨幣」と訳すのが嫌いなのと、いろんなものを羅列する場合の and の使い方を直訳するのが嫌いなので、この邦題にしてある。テキストとしては 1953 年刊の HBJ 版を使っている。 要約といっても、勝手なつまみいじゃない。原書に登場するすべての段落 (ただし6章、14章、19章それぞれのおまけは除く) を、番号をふってまとめてあ

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