僕は、山本七平氏に対してはあまりよいイメージを持っていなかった。最初に山本氏を知ったのは、イザヤ・ベンダサンというユダヤ人が書いたと言われている『日本人とユダヤ人』を批判したものを見たときだっただろうか。今では、このイザヤ・ベンダサンという人物は山本氏が作り出した架空の人物で、これは山本氏の著書だといわれている。 イザヤ・ベンダサンという著者を山本氏だと知らないとき、僕は『日本人とユダヤ人』という本を面白く読んだ記憶がある。それは、日本人が持っている常識的な発想に疑問を投げかけているもので、日本人ではないユダヤ人だからこそそのような見方が出来るのかな、と素朴に感じていたものだった。 しかし、その後本多勝一さんを知り、本多さんとイザヤ・ベンダサンの論争を『殺す側の論理』という著書で読んだとき、イザヤ・ベンダサンという人の論理の展開が詭弁のように見えて仕方がなかった。この論争においては、本多さ