書名は「だから方言はおもしろい」という意味の鹿児島方言なそうである。著者は言語学者で、このように本書は方言に関する調査研究をまとめたものだが、一般向けにやさしく解説されていて、まるで落語本を読むような楽しさがあった。 本書では用例として鹿児島地方を中心に三陸南部気仙地方の方言が数多く示されているのだが、それによると、まるで抱腹絶倒のような言葉遣いもある。 例えば、「はい」と「いいえ」について。 A:ホヤ クワネァガ? B:ハァ(はい) Aが「ホヤを食べないか」と質問したのに対し、Bは食べたくないのでハイと答えたのだが、AはBがハイと答えたのだから食べるの意味と受け取ったのだった。 これは気仙語の用例だが、一般的に英語式の回答と日本語式の回答の違いだともいわれる。しかし、実際のところ、「ホヤ、食べない?」と聞かれ、食べたくないときに「ええ、食べない」と答えるか、「いいえ、食べない」と答えるか