大友良英さん(音楽家)59年生まれ。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の音楽を手がける。近著に『学校で教えてくれない音楽』。=麻生健撮影 ■「大きな宿題」を抱えた理由 『ことばと国家』 [著]田中克彦 (岩波新書・778円) 福島で過ごした小学生時代、音楽の授業が嫌で嫌で仕方ありませんでした。どうして嫌だったのかと振り返ると、主に西洋の音楽の価値基準で「正しいもの」が教えられていたから。でも、そもそも音楽には無数のバリエーションがある、何が正しくて何が間違いというのはないし、だれでも自由につくれる……。小学校では、そんな「音楽の根っこにある大事なもの」を教えてほしかったな。そんなことを考えるようになったのは本書と出会ってから。生まれてくる子どもは親からごく自然に言葉を学ぶのに、その母語が、あるものは野卑な方言とされ、あるいは権威あるものとされるのはなぜかという「ことばの差別の諸相」を世界の