(NHK出版新書・1045円) 日本語は論理的か? 人称も数もなく非論理きわまる、という印象をもつひとがいる。著者はその俗説を斥(しりぞ)け、日本語は英語などの言語と同等に、論理的だと証明していく。日本語の誇りがかかった作業だ。 著者・飯田隆氏は言語哲学の第一人者。長年、哲学を学生に教えてきた。論理学が数学みたいにすっきり教科書に収まっているのは結構だ。だが日本語で思考するわれわれに、どう…

終わりなき日韓の対立を憂えながら、ふと恩師である大阪外大(現大阪大)朝鮮語学科教授だった塚本勲さんの顔が浮かんだ。延べ300人、23年の歳月をかけた22万語収録の「朝鮮語大辞典」を完成させただけでなく、85歳になってなお隣国の言葉を研究し、教えている。玄界灘の懸け橋になろうとした朝鮮語学者、その思いとは――。【鈴木琢磨】 若い頃から柔道の有段者で偉丈夫だった先生だが、久しぶりに会ったら、すっかり痩せ細っていた。「あんまりメシが食えんのや」。脳梗塞(こうそく)の後遺症もあってしゃべりづらそうだが、眼光は鋭い。奈良県生駒市にある自宅は朝鮮語や言語学関連の専門書、新聞、雑誌の切り抜きで足の踏み場もない。毎月第2日曜の昼下がり、この雑然とした居間兼研究室が一般向けの「ハングル塾」になる。大阪外大の在任中から主宰し、200…
ミスが発覚したポスター掲示板。中央部の13~18の番号が二重に表示されている=仙台市青葉区選挙管理委員会提供 16日に告示された仙台市議選で、同市青葉区選挙管理委員会は同日、同区選挙区(定数15)のポスター掲示板に区画表示番号を6区画分重ねて表示するミスがあったと発表した。ミス発覚の際、既に候補者2人分のポスターが間違った区画に張られていたため、選管はそれぞれの候補者の事務所に連絡して、正規の区画に張り替えてもらったうえ、番号を修正した。 同様のミスは2015年の前回市議選で、同市泉区の掲示板でも発生した。同市選管は今年7月の参院選宮城選挙区の開票作業でも222票の得票を間違って配分するなど、14年衆院選以降、ミスが「恒例化」している。
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が行った対日批判の表現が、新たな火種になっている。日本の輸出手続き優遇国から韓国を除外する閣議決定を受けた2日の臨時閣議での発言だ。 文氏の発言で問題になっているのは「賊反荷杖(ジョクパンハジャン)=泥棒が罪もない人にむちを振るう」という四字熟語。本紙は「開き直って」と意訳したが、他の日本メディアは「盗っ人たけだけしい」という訳が圧倒的だった。辞書にもそうあるので、間違いとは言えない。 この発言に対して佐藤正久副外相は同日のテレビ番組で「品のない言葉まで使っているのは異常だ。無礼だ」と反発。これに韓国青瓦台(大統領府)や韓国外務省が「無礼だ」と再反論した。日本語にない表現が、日韓の相互不信を背景に非難の応酬に発展した格好だ。
参院選の選挙区は、3年前の前回まで国政選挙の中で唯一、テレビの政見放送に手話通訳も字幕も付けることができなかった。昨年の公職選挙法改正で今回からこれが解消され、バリアフリーは一歩進んだ。だが、実際の放送は候補者によって対応が割れており、聴覚障害者への情報保障はまだ十分ではない。 今回から参院選選挙区の政見放送は、放送局で収録する従来の「スタジオ録画方式」に加え、候補者が独自収録した映像を流す「持ち込みビデオ方式」も選べるようになった。衆院選の小選挙区では1996年から導入されており、候補者側が制作段階で手話通訳や字幕を付けることができる。 スタジオ録画も今回から、候補者が要望すれば手話通訳が付くことになった。これまでは、候補者が多いため一斉の収録日に通訳の必要数を確保できない地域があるとの理由で全国一律で認められていなかったが、持ち込みも可となったため、総務省は通訳の数が足りると判断した。
在日外国人が増え続ける少子高齢化社会・日本。多様な背景を持つ人々が支え合う社会を生み出すためのヒントを探ります。
志摩市志摩町和具の方言3万1052語を収録した辞典「和具の方言」(全3巻)がインターネットに掲載され、スマートフォンから手軽に検索できるようになった。方言数の多さに加え、大半の方言に会話文が付けられており、方言研究者の間では他に類のない貴重な辞典と評価が高い。出版から10年余りがたち、存在が忘れ去られていく状況に対応しようと、編集協力者で皇学館大非常勤講師の西岡博子さん(65)が、インターネット用に4カ月かけて編集した。【林一茂】 和具の方言は2008年、同町和具の開業内科医、鍋島泰さん(1926~2010年)が出版した。中学生時代に方言に興味を持った鍋島さんは、勤務医を経て1959年に帰郷して開業。患者と会話を交わすうち「方言を記録しないと、なくなってしまう」との思いを募らせた。
一瞬だが、新しい元号を「めいわ」と思った人たちがいる。菅義偉官房長官が記者会見で「令和」と発表したとき、政府の依頼した手話通訳士が「め」「い」「わ」と指文字で訳したのだ。テレビでは官房長官が掲げた「令和」の字が手話通訳の「ワイプ画面」に隠れてしまった▲手話通訳士が悪いわけではない。固有名詞や専門用語は誤訳がないよう、講演会などでは事前に伝えておくのが普通だ。新元号は絶対に漏れないようにと直前になっても通訳士には知らされなかった▲ほとんどの国民にとって「令和」は初めて聞く造語だ。会見場の通訳士は官房長官が掲げた「令和」が見えない。「めいわ」に聞こえたとしてもおかしくないだろう。手話通訳への配慮が政府側にもう少しあってもよかったのではないか▲首相官邸の記者会見に手話通訳が付くようになったのは、東日本大震災の時からだ。全日本ろうあ連盟などは「今回の問題が手話通訳付き放送の歩みを止めることのないよ
東京外国語大が開設したクルド語を学べる講座が4月から同大で始まった。講師をつとめる在日クルド人のワッカス・チョーラクさん(38)は、「日本でなじみのないクルドの言葉を伝えたい」と意気込んでいる。 クルド語は、中東のトルコ、シリア、イラク、イランの国境地域に住むクルド人が話す言語。クルド人の数は3000万人と言われているが、自らの国家を持たないため「国なき民」と呼ばれている。各国で少数民族として政治的な弾圧を受け、トルコではクルド語の使用が禁止されていたこともある。 日本の大学で初めての学生向けの講座と、一般市民向けに開いている「オープンアカデミー」の講座があり、いずれもチョーラクさんが週1回の授業を担当している。 このうち4月1日にあった一般向け講座(全15回の初回)では、受講生は定員いっぱいの21人が参加。日本語を流ちょうに話すチョーラクさんは、自分で作った教材のプリントを配り、ホワイト
民話「猿の花嫁」の一場面を映したプロジェクターを背に語る漁火の会の北村弘子さん=岩手県釜石市上中島町2の中妻公民館で、2019年2月13日、藤井朋子撮影 東日本大震災の被災地で、方言を見直す動きが広がっている。震災による人口減が進む市町村が多い中、地元住民が「方言を若い世代に伝えたい」と活動し、現代風にアレンジするミュージシャンも出てきた。識者は「『自分は何者か』と考える時に方言は大切」と話している。【藤井朋子】 「おら嫁っこほしい。じさまの娘っこ、おれさ、けろ」 1000人以上が犠牲になった岩手県釜石市の公民館。女性有志9人でつくる「漁火(いさりび)の会」事務局長、北村弘子さん(66)が2月中旬、被災者を前に地元の方言で民話を読み聞かせた。
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