以前、深夜アニメで「きっと何者にもなれないお前達に告げる」という台詞が出てきて、ちょっとした人気を博していた。「きっと何者にもなれないお前達」という台詞がインパクトをもって受け止められたということは、多くの視聴者が「何者かになりたい」自意識を抱えていたのだろう。それとも「何者かにならなければならない」けれども「何者にもなれそうにない」と思っていたか。 「きっと何者にもなれない」という台詞には、「お前はまだ何者でもない」という含意がある。何者かになろうと思っているうちは、何者でもないのだ。自分というものにカタチがない。心理学っぽい表現を心がけるなら「アイデンティティ拡散」「アイデンティティの確立途上」といった表現になるかもしれない。 今日、「何者かになりたい/なれない」と問う人は、しばしば、気宇壮大な何者かをイメージしている。「何者かになる/ならない」問題に拘っている人のうち、一般的な仕事、
![「きっと何者にもなれない時代」の平凡と「あらかじめ何者かが強制された時代」の平凡](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/16fbf324afb12d3dbe02adc4606c4437ab6bb49f/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimg.huffingtonpost.com%2Fasset%2F5c63b8d52500003e04807faa.jpeg%3Fops%3D1200_630)