皮肉なことに、プロジェクトと失敗とは相性がよい。納期どおりにできなかった、要求どおりにできないことが多い、機能を削減することが多いなど、もともとの目的、スコープから、後退したプロジェクトの経験を持つITエンジニアは多いに違いない。なぜ目的どおりにいかないのか。どこを改善したらいいかを本連載で明らかにし、処方せんを示していきたい。 プロジェクトの失敗を覆い隠そうとする経営者 あるSIベンダで大規模なプロジェクトが失敗し、数十億円の赤字を計上した。開発当初、そのプロジェクトは成功すれば大きな利益がもたらされるという良いうわさが流れていたが、しばらくして「プロジェクトがうまくいっていない」という悪いうわさが流れるようになった。このころから、プロジェクトメンバーの変更が頻繁になされるようになり、変更になったメンバーの多くは関係会社へ出向させられていった。最終的に、大きな損失を残してプロジェクトは終