小泉俊己さんが制作した彫刻作品「Voyage」。大阪モノレール公園東口駅に展示されているが、劣化が進んでいた=大阪府吹田市で2023年8月、山田夢留撮影 大阪府吹田市の駅のコンコースに長年置かれた彫刻作品は、劣化が進んでいた。「砂浜に打ち上げられ放置された漂流物」。作者の多摩美術大教授、小泉俊己さんは悲しみ、あきれながら、自分の作品をこう表現する。大阪府所蔵の美術作品が不適切に取り扱われていた問題が、今年明らかになった。私たちの暮らしに、社会に、なぜ美術は必要なのか。パブリックコレクションの信頼性を根底から覆す事態を通じて見えてきた根源的問いを、当事者の一人、小泉さんと考える。【聞き手・山田夢留】 【関連記事】 ミュージアムの「トリアージ」と「終活」 避けるために必要なこと 世界的名作の特別展だけではない 美術館の重要なミッションとは 美術館のコレクションは、人の営みの連なりと捉えることが