コロナ時代の交流予見 富山市生まれの作家高山羽根子さん(45)=東京都=が、沖縄を舞台にした作品「首里の馬」(「新潮」三月号掲載)で芥川賞を受賞した。決して会うことができない場所にいる人同士とのオンラインでの交感は図らずも「コロナ時代」の交流のあり方を予見し、沖縄の知られざる歴史を保存することへの主人公のこだわりが、記録するという知の営為は未来の希望になるのだと訴えかけてくる。 (松岡等) 受賞作の主人公・未名子(みなこ)は、私設資料館でアーカイブ(資料の保存記録)のボランティアをする一方、世界の各地で孤独に生きる人に向け、オンラインで対面しながらクイズを提供するという奇妙な仕事に従事する。自身にも意味がないように思えたそうした作業が、沖縄で既に天然記念物となっている宮古馬が未名子の前に現れるのを契機に動きだしていく…。