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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (361)

  • 菅首相うっかり? それでも「国民皆保険の見直し」発言が大問題な訳

    <国民生活の基盤とも言える医療制度の見直しに言及した菅首相は、意図せずパンドラの箱を開けた> 菅義偉首相が、国民皆保険制度を見直すとも受け取れる発言を行い、永田町や霞が関に激震が走るという一幕があった。国民皆保険は日の戦後社会の中核を成す制度であり、政府・与党にとっては最も大きな政治利権の1つでもある。この重要な社会インフラは財政的に厳しい状況となっており、菅氏の発言は期せずしてパンドラの箱を開ける結果となってしまった。 菅氏は2021年1月13日の記者会見で、医療関係の法改正に関連して「国民皆保険(中略)を続けていくなかで、今回のコロナがあって、そうしたことも含めて、もう一度検証していく必要はあると思っています」と発言した。 ネットでは「首相が国民皆保険制度の見直しに言及した」「耳を疑う」などと情報が拡散。各紙がこれを報じたことから、加藤勝信官房長官が火消しに奔走する羽目になった。 菅

    菅首相うっかり? それでも「国民皆保険の見直し」発言が大問題な訳
  • 「養子縁組」で母になったTBS久保田智子、いま何を思うのか

    一児の母となった久保田智子が語る、幸せのカタチとは(11月末、久保田の自宅にて撮影) Photograph by Mayumi Suzuki for Newsweek Japan <TBS元アナウンサーの久保田智子は、特別養子縁組制度がつないだ縁で母になった。なぜその選択をしたのか、「家族」に血のつながりは必要か、彼女が語る「幸せのカタチ」とは――> TBSの元アナウンサーで、2016年に退社後、今月1日付で同社の報道局に復帰した久保田智子(43)は現在、1歳10カ月の女児の母だ。彼女は19年1月、特別養子縁組がつないだ縁で生後4日目のハナちゃん(仮名)を養子に迎えた。 特別養子縁組とは、厚生労働省の言葉で言うと「子の福祉を積極的に確保する観点から、戸籍の記載が実親子とほぼ同様の縁組形式を取るものとして、昭和62年に成立した縁組形式」のことだ。普通養子縁組と違って、特別養子縁組は生みの親と

    「養子縁組」で母になったTBS久保田智子、いま何を思うのか
  • 日本の未婚男性は長生きしないのに、女性は既婚より未婚の方が長生きする不思議

    <2000年以降、出産や育児などの負担がある既婚女性よりも未婚女性の方が長生きする傾向が続いている> 日人の平均寿命は男性が81歳、女性が86歳となっている(2016年)。世界有数の長寿国で、アフリカ諸国の「人生50年」とは大きな違いがある。近い将来「人生100年」の社会になるという予測もある。 だが日人と言っても一様ではなく、様々な生活条件の下で暮らしている人々の集合体だ。都市と農村では生活様式が違い、寿命にも差があるし、経済的に恵まれた人とそうでない人の「いのちの格差」もある。国や自治体はこういう違いに注目し、啓発や支援に取り組む責務を有する。 あまり知られていない要素として配偶関係による差もある。日では未婚化が進んでいるが、結婚していない未婚男性は長生きしない。2018年中に亡くなった未婚男性は7万3435人で、その年齢分布を取ると<表1>のようになる。 山型のノーマル分布だが

    日本の未婚男性は長生きしないのに、女性は既婚より未婚の方が長生きする不思議
  • 日本学術会議問題を「総合的俯瞰的に」考察して浮かび上がった、菅総理の驕り

    <このコラムは、「構造と文脈」の技術で複雑な情報を読み解く「コンテクスター」の筆者が、時事ニュースの真相に迫るものです> <なんで、いま、みんな日学術会議に関心を持っているの? 新政権のツッコミどころだからというだけでしょう>  - 社会学者の西田亮介・東京工業大准教授(37)のツイート このツイートに象徴されるように新型コロナ対策やオリンピックの開催の可否等に比べて、この件は多くの国民にとってどうでも良い話かもしれない。 当事者ですら、会員の活動は研究者としては負担であり、任命されなかったらそれはそれで負担軽減されるので良いと言っている。また個別の研究者として学問の自由が特に侵される訳でもない。 また発生後、1ヶ月以上経過し、識者の争点も概ね語り尽くされた感もある。 但し、企業活動でも家庭でも、こういう一見些細に見える事柄に大きな構造上の問題が潜んでいる事がよくある。一部門の一組織の小

    日本学術会議問題を「総合的俯瞰的に」考察して浮かび上がった、菅総理の驕り
  • ナイキCMへ批判殺到の背景にある「崇高な日本人」史観

    <日人の在日コリアンに対する差別を示唆するCMに反発する人々には、気で日人は差別などしないと信じる「温室育ち」が多くいる> ナイキジャパンが製作したPR動画、「動かしつづける。自分を。未来を。 The Future Isn't Waiting.」が、摩訶不思議な批判を受けている。 動画の再生回数は同社の公式ユーチューブサイトで約1000万回(20年12月3日現在)に迫るが、その中で日人ユーザーのものと思われる批判コメントの殆どが所謂「ネット右翼」と呼ばれる層によるもので、「日には人種差別は極めて少ない(よってこのCMはけしからん)」「日に朝鮮人差別は無い、あったとしても理由があるから」「ナイキは反日企業だ、もう買わない」「朝鮮総連が日人拉致に関与している事実をナイキは知っているのか」などと言ったコメントが多数を占めている。 このPR動画には主に3人の少年少女が登場するが、その

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  • 感染拡大のリスクを冒してまで東京五輪を開催する価値はあるのか?

    <五輪開催の安全性の判断は困難。明らかな感染リスクを考慮せず、回収不能なサンクコスト(埋没費用)ばかりに目を向けてはいないか> ちょうど今、イギリスはクリスマスについての議論が真っ盛りだ。新型コロナウイルスのリスクにもかかわらず家族が集まることは許されるべきなのか? 一方では、クリスマスはとても愛され、大切にされている伝統だ。他方では、クリスマスが感染拡大の原因となり、人命を犠牲にし、数カ月もの長いロックダウン(都市封鎖)で払った代償を全て無駄にする可能性もある。 「ほんの数日の祝祭のために、今後数カ月に及ぶウイルスの危険を冒す価値はないだろう......」と言う人もいる。でも、「ほかはともあれクリスマスだけは諦めるべきではないのでは...」と言う人だっている。 日でも似たような議論が起きているだろうか──東京オリンピックを進めるべきかどうかについてだ。賛成派・反対派の双方に強い主張があ

    感染拡大のリスクを冒してまで東京五輪を開催する価値はあるのか?
  • 女性陸上アスリート赤外線盗撮の卑劣手口 肌露出多めのウェア着ている選手が悪いのか?

    女子アスリートの周囲にはチーム関係者や、純粋に競技の写真を撮影している人がいる一方で、女子選手の胸元や下半身に狙いを定めている不届きなカメラマンもいる(写真はイメージ) iarti / recep-bg -iStockphoto ユニフォームが肌露出の多いデザインになっている陸上の女子選手の胸元や下半身に狙いを定める盗撮まがいの"カメラマン"が問題になっている。写真がネットで拡散されるなどの被害が出ている。スポーツライターの酒井政人氏は「競技団体は不審者がいないか競技場内を巡回するなど対策しているが、いたちごっこが続いている。最近は赤外線カメラを活用した卑劣な手口も現れた」という──。 陸上女性選手を悩ませる「盗撮被害」のひどい実態 女子アスリートが性的な"視線"を受けて、プレー中の卑猥な写真がインターネットで拡散される被害が問題になっている。特に狙われているのが肌の露出が多い陸上選手だ。

    女性陸上アスリート赤外線盗撮の卑劣手口 肌露出多めのウェア着ている選手が悪いのか?
  • ヘビ? トカゲ? 進化の過程で四肢をなくし、再び取り戻した例外的な生物 

    <フィリピンの一部の島に生息するトカゲの一種「ブラキメレス属」は、進化の過程で四肢をなくした後、再びこれを取り戻した例外的な生物だ。その理由が明らかに...... > 進化論では「長い年月を経て脚などの複雑な構造が一度失われると、その子孫がこれを再現することはほとんどない」と考えられてきた。しかし、フィリピンの一部の島に生息するトカゲの一種「ブラキメレス属」は、進化の過程で四肢をなくした後、再びこれを取り戻した例外的な生物である。 約6200万年前に四肢を失い、約2100万年前に取り戻した 米クラーク大学やオクラホマ大学らの共同研究チームは、進化形態学、生体力学、生態学、古気候学を効果的に統合し、その形態や移動様式、生息地の環境や気候にまつわるデータをもとに、四肢を失ってヘビのような形態となっていたブラキメレス属がどのようにして再び四肢を取り戻したのかを解明した。 一連の研究成果は、202

    ヘビ? トカゲ? 進化の過程で四肢をなくし、再び取り戻した例外的な生物 
  • 日本でPCR検査数が劇的に増えないのはなぜなのか?

    PCR検査を担当する「臨床検査技師」は、国家資格の専門職で「臨時増員」が難しい> アメリカは、下手をすると新型コロナウイルスの「第3波」となりそうな気配もあります。春に東海岸と太平洋岸で発生したピーク、夏に南部や中西部で発生したピークに続いて、全国における新規陽性者の数は再び上昇に転じているからです。 ですが、社会は意外と平静です。その理由としては、PCR検査の件数が爆発的に増加しており、検査を受けたい人はほぼ受けられるようになったという点があると思います。 例えば、ジョンズ・ホプキンス大学のデータによれば、アメリカの場合、現在ではほぼ1日に120万件の検査数となっています。 一方で、日の場合ですが、厚労省としては、PCR検査の最大検査能力としては、7万5026件(暫定値、10月24日時点)プラス検疫所における検査能力が1万300件(抗原定量検査)となっています。これ自体が決して多くな

    日本でPCR検査数が劇的に増えないのはなぜなのか?
  • コロナ拡大でも経済的既得権にしがみつく中高年を憎む若者が世界に急増、政治不安が増幅する

    Pandemic, Unemployment Boost Resentment Against Older Generations: Survey <とくに若者を怒らせているのは、行動制限に従い失業している若者たちの苦境に目もくれず、感染拡大を助長してきた親世代や政治指導者> 新型コロナウイルス再拡大のさなかにあって、世界中の若者は、年上の世代に対する不満を募らせている。経済は低迷し、機会は失われ、感染予防のための行動制限の保護対象であるはずの中高年は規則に従っていないからだという。 11月17日に発表された英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の調査によると、対象となった16歳~30歳までの若者800人以上が、新型コロナウイウルス感染拡大による行動制限と社会のリーダーとしての責任をとらない年長世代に対する怒りを表明した。 収入減少と雇用不安について若者がどう感じているかを探ったこの調査で、

    コロナ拡大でも経済的既得権にしがみつく中高年を憎む若者が世界に急増、政治不安が増幅する
  • それをあなたが言いますか? 菅首相の「ビジョン」に抱いた違和感

    <「出稼ぎのない世の中をつくりたい」と、菅首相は雑誌に寄稿していた。しかし菅氏が支え続けてきた安倍政権下においてこそ、日は「出稼ぎに依存する国」へと大きく舵を切ってきたはずだ> 先の自民党総裁選の頃、まだポスト安倍の一候補だった菅義偉官房長官には「ビジョン」や「国家観」がないという指摘を度々目にした。外野は好きに言っていろと人は思っているかもしれないが、実際どうなのかは確かに気になるところだ。 そんな折、雑誌に「我が政権構想」という題で菅氏の寄稿が載っているのを見つけた。話題の新書『政治家の覚悟』にも再録されている。 読んでみると、こんなことが書かれていた――「私は秋田の寒村のいちご農家に育ち、子どもの頃から『出稼ぎのない世の中をつくりたい』と思っていました」。 例の「地方からのたたき上げ」の文脈の中に、自らが主導したふるさと納税や外国人観光客の誘致拡大といった過去の施策も位置付けてい

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  • 日本の科学者は「給料安い」「ポンコツ多い」(一流科学者・覆面座談会)

    <日で科学の危機が叫ばれて久しいが、海外経験豊富な研究者たちはどう捉えているのか。4人の日人科学者に集まってもらい、「選択と集中」など日の科学界の問題点、欧米との絶望的な格差、あるべき研究費の使い方について語ってもらった。誌「科学後退国ニッポン」特集より> 日は「科学後進国」なのか。日の研究・教育環境と海外との違い、そこから見える問題点と解決策とは。 アメリカやイギリスの一流大学や研究所で勤務経験があり、現在は東京大学や東京工業大学で助教、准教授として働く30代後半の研究者、仮名「ダーウィン」「ニュートン」「エジソン」と、国内の大学で学長経験もある大御所研究者「ガリレオ」の計4人に、覆面座談会で忌憚なく語ってもらった。 (収録は9月25日、構成は誌編集部。記事は「科学後退国ニッポン」特集掲載の座談会記事の拡大版・前編です) 日は「科学後進国」か否か ダーウィン 僕の専門分

    日本の科学者は「給料安い」「ポンコツ多い」(一流科学者・覆面座談会)
  • 非常に珍しい、右側がオスで左側がメスの鳥が発見される

    右半身がオス、左半身がメスとみられるムネアカイカルが発見された...... (Annie Lindsay) <ペンシルベニア州のパウダーミル自然保護区で、非常に珍しい、右半身がオス、左半身がメスとみられるムネアカイカルが発見された...... > 米カーネギー自然史博物館(CMNH)傘下のパウダーミル鳥類研究センター(PARC)は、2020年9月24日、ペンシルベニア州南西部ウェストモアランド郡レスターにあるパウダーミル自然保護区で、右半身がオス、左半身がメスとみられるムネアカイカルを発見した。 遺伝子的に右側がオス、左側がメスの「雌雄モザイク」 ムネアカイカルは、性別によって体の大きさや色彩など、個体の形質が異なる「性的二形」であり、オスとメスで羽の色が異なる。このムネアカイカルは、右側の翼の内側がピンクで、右胸に斑点がみられ、右翼の羽が黒い一方、左側の翼の内側は黄色で、翼の羽は茶色い。

    非常に珍しい、右側がオスで左側がメスの鳥が発見される
    kaeru-no-tsura
    kaeru-no-tsura 2020/10/10
    あしゅら男爵はどっちがどっちだっけ
  • 韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる

    芸能人からの仕事の依頼も多いという人気スタイリストのハン・へヨンだったが、そこで取り上げていたのはPPL=ステマだった…… 슈스스TV / YouTube <日なら「所詮ユーチューブだから」で終わるかもしれないことも、韓国では容赦ない批判を受けて大炎上に......> 近頃、日では多くの芸能人がユーチューバー・デビューを果たしている。今年4月には吉興業が、多くのユーチューバーが所属する大手企業UUUMと業務提携を締結した。今後さらなる芸能人ユーチューバーが誕生していくとみられている。もちろん、お隣の国、韓国でも同じ状況は起こっており、アイドルやタレントが続々と自分のチャンネルを開設して人気を集めている。 しかし、そうなるとユーチューブ内で数々の問題が発生し始める。特に最近の韓国ユーチューブ界を賑わせているのが「PPL広告問題」だ。PPL(Product PLacement)とは、広告

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  • 「アベノマスク」調達額は予算より少ない90億円内に 不良品は製造元に全品回収を指示

    政府は24日午前の会見で、布製マスクの家庭への配布予算について、マスク調達積算額より少ない90億円に収まる予定だと発表した。写真は17日首相官邸でマスクをつける安倍首相 Kiyoshi Ota/Pool via REUTERS 菅義偉官房長官は24日午前の会見で、布製マスクの家庭への配布予算について、より安く早い調達を目指した結果、マスク調達積算額より少ない90億円に収まる予定だと述べた。残りの金額はマスク配布には使用しないという。 政府の緊急経済対策ではマスク事業費に充てられる予算額466億円だが、菅官房長官は1枚200円程度と説明してきており、全世帯分への配布事業費としては大きすぎるとの批判の声がネットなどで上がっていた。 同長官は「現在は予算の半分の233億円について予備費での執行を進めているところだ」と説明した。 また、既に配布したマスクの品質不良問題については「不良品を生産した2

    「アベノマスク」調達額は予算より少ない90億円内に 不良品は製造元に全品回収を指示
  • 知られざる日本のコロナ対策「成功」要因──介護施設

    <いまだ議論の続く「日モデル」の謎。ほとんど注目されていないが、日が新型コロナウイルス第1波を抑え込めたカギは、高齢者施設での地味な対策ではないか> アメリカでは新型コロナウイルスの感染拡大が続き、日でもまた感染が拡大しているのではないかと言われている。第1波に各国がどう対処したかを比較するのは、次の感染の波に備える意味でも重要である。 日を含む東アジアにおけるコロナ死亡者数は、欧米と比べると格段に少ない。台湾韓国では、総統や大統領が陣頭指揮を執り、検査数を素早く増やし、ハイテクを駆使して、欧米のような経済的損失が甚大なロックダウン(都市封鎖)なしで第1波を切り抜けた。ところが、日ではオリンピックへの配慮からか政治的な初期対応は随分と遅れたにもかかわらず、やはり死亡者数が非常に少ない。 国内では「日モデル」が話題になっているが、国際的にはあまり興味を持たれていない。理由は3つ

    知られざる日本のコロナ対策「成功」要因──介護施設
  • 「字幕を読めない人」がいることの本当の意味

    字幕の壁を乗り越えた『パラサイト』だからこそ、気が付いて欲しかったこと MATT PETITーHANDOUTーA.M.P.A.S./GETTY IMAGES <外国語映画の作品賞受賞が投げ掛けるアクセシビリティの問題> アカデミー賞を主催する米映画芸術科学アカデミーは先頃、来年からノミネート作品に「多様性と包括性の新たな基準」を設けると発表した。 近年「#OscarsSoWhite(オスカーは白人だらけ)」の批判を受け、アカデミーはさまざまな修正を試みてきた。だが、その結果は複雑だ。 今年2月に韓国の『パラサイト 半地下の家族』が外国語作品として初めて作品賞に輝いたことは進歩の兆しであり、アメリカの観客はポン・ジュノ監督の言う「1インチの字幕の壁」を乗り越える準備ができたとも受け止められた。 しかし、ハリウッドが他の文化圏の作品を認めようとしないことを象徴する「壁」の議論が、どういうわけか

    「字幕を読めない人」がいることの本当の意味
  • 予期せぬ事態で簡単に貧困に陥る「格差社会」での幽霊のような存在

    <自分が思いがけなく転んだときにそのまま坂を転げ落ちずにすむ社会を、日も考えておくべき> シングルマザーになった若い女性が生活のために富裕層の家を掃除する「メイド」の仕事についた回想録『Maid』は、発売早々全米ベストセラーとなり、バラク・オバマ前大統領は2019年に年間推薦図書に選出した。2021年にはNETFLIXで映像化も決定している。 この回想録で描かれるメイドは、自分を見えない幽霊のように扱う者たちの台所やトイレを毎日磨き続ける。だが、著者は貧困、DVを振るう元パートナーや経済的自立を阻む恋人、穴だらけの福祉、偏見の目、そして誰からも尊重されない孤独の中、それら全てが低下させる自己肯定感に苛まれながらも、作家になる夢と、自らの解放を叶えていく。 社会から不運にも疎外された者が地べたから見た格差社会の眺めと、少しずつでも自ら未来を変えていく希望を描いたこの回想録が、今月邦訳出版さ

    予期せぬ事態で簡単に貧困に陥る「格差社会」での幽霊のような存在
  • ウイグル女性に避妊器具や不妊手術を強制──中国政府の「断種」ジェノサイド

    新疆ウイグル自治区の南西部に位置するカシュガルで警察をからかう子供たち(2017年) KEVIN FRAYER/GETTY IMAGES <中国政府のウイグル人に対する産児制限は、国連の定めるジェノサイドの定義に該当する> 「達成目標 その1 子宮内避妊器具(IUD)を524人に装着。その2 不妊手術を1万4872人に実施」 これは新疆ウイグル自治区南部に位置する人口253万人のホータン(和田)地区の中心地ホータン市の2019年版家族計画書からの引用だ。隣のグマ県(人口32万2000人)も同年に5970人にIUDを装着し、8064人に不妊手術を実施するという数値目標を掲げている。 中国の少数民族ウイグル人が多く住むこの2地域の当局は、1年間に18~49歳の女性の14~34%に不妊手術を実施する目標を掲げた。人口に対する割合では、1998年から2018年までの20年間に中国全土で実施されたよ

    ウイグル女性に避妊器具や不妊手術を強制──中国政府の「断種」ジェノサイド
  • 「かくて私は教授を『クビ』になった」大月隆寛、地方大学の窮状を語る

    <民俗学者の大月隆寛氏が誌に緊急寄稿。札幌国際大学を「懲戒解雇」された経緯と、経営難が続く地方大学が抱える問題とは> 勤めていた大学から「懲戒解雇」を申し渡された。北海道は札幌にある札幌国際大学という、今年で創立51年目になる小さな私大だ。地元の人たちには前身の静修短期大学という名前のほうが今でも通りがいいかもしれない。 こういう地方の私大のご多分に漏れず近年は定員割れが続き、わらにもすがる起死回生の策ということだったのだろうか、2019年度から外国人留学生を大量に入れるようになった。 ところが、その入れ方がずさんで、大学で学べるだけの日語の能力の目安として留学生受け入れの条件になっている「N2」という日語能力試験の基準をクリアしていない学生をたくさん入れてしまった。しかも、留学生を抱えた大学に課されている在学中の在籍管理──勉学面のみならず、一定時間以上のバイトをしていないか、など

    「かくて私は教授を『クビ』になった」大月隆寛、地方大学の窮状を語る