「"歴史学"の入門書でお薦めの本はありますか?」 後輩さんからこのような質問を投げかけられるたびに、私は「少し分かりにくい所もあるだろうけど……」と注意書きを付せて、E・H・カーの『歴史とは何か』(清水幾太郎訳、岩波新書、1962年)を薦めてきた。 なぜこの本を薦めるのかといえば、理由は単純で、私が幾人もの教授、講師、先輩方に「読むべし!」と薦められてきたからである。内容的な面を考えれば、「歴史」(及び歴史学)の入門書としては、事前に抑えておかなければならない基礎知識が多すぎるため、まだ大学で学び始めたばかりの後輩さんには積極的に薦めることができないでいた。 「『歴史とは何か』の代わりとなる歴史学の入門書はないかなー」 私は本屋に足を運ぶたびに、上記の悩みを頭の片隅に留めながら、棚に並ぶ本を眺めていた。 すると先日、ある本の帯に面白い一文を見出し、「おお!」と思わず手に取った。 その一文と
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