「香粋」を箱に詰める島田満沖さん(右)と妻の佐枝子さん。「キウイのたまご」というかわいいネーミングも、人気の秘密だ コンパクトにまとまった山々と、きらめくため池。車窓からそんな風景を眺めていると、讃岐に来たのだという実感がわいてきた。 善通寺駅から西へ約4キロ。目指す「キウイバードコーポレーション」の事務所は、四国霊場第七十二番札所・曼荼羅(まんだら)寺のすぐそばにあった。社長の島田満沖(みつおき)さん(57)は、国内でも数少ないキウイフルーツ専業農家。1個1000円のキウイを作る、“カリスマ”生産農家だ。 キウイが日本に入ってきたのは、1960年代。過剰生産で価格が暴落したミカンに代わる転換作物として、導入が進んだ。香川県は産地化を目指し、70年代後半から、坂出市の県農業試験場府中分場で新品種開発に取り組んできた。 「これまで2300個体の交雑を試み、品質に優れた『香緑(こうりょく)』『