OLYMPUSというメーカーは、野球のピッチャーに例えれば、変化球投手であろう。剛速球ど真ん中ではなく、いつも他社とは違う、ちょっと変わったところで勝負している印象を持っている。 OLYMPUSが一躍カメラメーカーとしてスターダムにのし上がったのは、1959年の「Pen」の発売がきっかけだろう。1970年代まで大ブームを巻き起こす、いわゆるハーフカメラの先駆けである。 ハーフカメラ自体は米国ですでに戦前から存在したが、OLYMPUS Penは「もはや戦後ではない」のキャッチフレーズに励まされ、高度経済成長へ向かう日本において、1本のフィルムに2倍撮れるというお得感、そして小型で軽量、簡単、カッコいいというところが受けた。 このPenこそが、のちに天才設計者と呼ばれることになる米谷美久氏のデビュー作である。そして合理性と機能美を追求する米谷イズムが、長くOLYMPUSの方向性を決定づけること