1 天の眼が目覚める夜 その夜、一つの星が堕ちた。 千年もの間その場所でひときわ輝きを放ちながら瞬いていたその星の欠落は、数多の星々がひしめき合う美しい夜空を一瞬にして異質なものに変えてしまった。 星たちは天の主を失って動揺しているかのように、そのぽっかりと空いた暗闇の周りを小刻みな瞬きで必死に照らそうとしているかに見えた。 やがてその急激に様変わりした夜空を切り裂くように沓音が荒々しく地上に響き、それは次第に切羽詰まったように速くなっていった。 忙しい息づかいが荒々しい沓音とともに静まり返った宮殿の奥へ奥へと吸い込まれていく。 緋色の衣の上に纏った真っ白な薄衣が漆黒の闇に浮かび上がり、頭上に被った銀糸の衣が羽のように風にふわりと舞い上がると、厳重に閉ざされた門を守る屈強な番人たちの槍でその行手は遮られた。 「何者! ここを国王陛下のおられる宮殿と知っての狼藉か!」 首元に突きつけら