小説家、劇作家、放送作家として長く第一線で活躍をしてきた井上ひさしさん。 職業柄、もちろん本を読むことは多いがその蔵書の数は凄まじく、生涯集めた本の数は十三万冊にも及んだ。 これらの本を全て寄贈し、図書館まで作ってしまったほどだった。 そんじょそこらの”読書家”とはレベルが違う。 では、どのようにしてここまで本を集めるにいたったのか、そもそもの本との出会いはと井上ひさしの半生と本について書かれているのだ本書の『本の運命』である。 生涯を”本”と共に生きた壮大な物語が書かれている。 「本の運命」の見どころ 本との出会い 著者の実家はよろず屋のようなことをやっていた店だった。 店の半分は薬局だが、文房具も置いてある。 レコードも少しあって、本も雑誌も扱っていた。 父親は小説家志望で賞を受賞したこともあった。 母親も文学好きでベストセラーや必読書と言われた本はだいたい集めていた。 幼少期にはいつ