330万年前の石器が発見された現場で発掘作業をする考古学者、ソニア・アルマン氏。この発見により、石器作りの起源が70万年以上早まった。(PHOTOGRAPH BY JASON LEWIS) 2011年7月9日、ケニアのトゥルカナ湖西岸の干上がった河床で車を走らせていたソニア・アルマン氏は、本来右折すべきところを左折してしまった。 「あれは私の責任です」と言うのは、米ラトガース大学の古人類学者、ジェイソン・ルイス氏だ。ルイス氏は、地質図とGPSを頼りにナビゲーターを務めていた。アルマン氏は米ストーニーブルック大学の考古学者。2人は、数百万年前の堆積物から人類の祖先による行動の痕跡を探すチームの陣頭指揮を執っていた。 このミスディレクションが大きな収穫をもたらした。これまで最古とされていたものよりも、さらに70万年ほど古い石器が見つかったのだ。この発見は、5月21日付「Nature」に発表され