本書は引きこもりの臨床という極めて限定した領域を扱った本と見せかけて、普通の対人関係においても活用できることが多く書かれており、実用書的な価値も高いです。 また具体的な臨床実践を通じた精神分析理論のガイダンス本としても読めるので、精神分析って興味あるけどなんか敷居が高そうだし・・・と思っている人にもオススメです。 欲望とは〈他者〉の欲望である フランスの精神分析家、ジャック=ラカンは「欲望とは〈他者〉の欲望である」と言います。つまり、人の欲望というのは自然発生的に湧いてくるわけではなく、「他人からもらうもの」だということです。 例えば、なぜ皆がiPhoneの最新機種を欲しいと思うのかというと、それを皆が欲しがっているからであり、なぜ誰も路傍に打ち捨てられたゴミを欲しいと思わないのかというと、それを誰も欲しがっていないからでしょう。要するにそれを他の誰かが欲しがっているから自分もほしいと思う