創文社が刊行したトマス・アクィナス「神学大全」の第1巻。左が創文社版の原本、右が講談社が刊行するプリントオンデマンド版=講談社提供 6月に解散した老舗の学術書専門出版社「創文社」の書籍を、講談社や東京大学出版会などが引き継ぐことになった。東大出版会は刊行途中だった「ハイデッガー全集」を引き取り、講談社は千数百冊を対象に、注文に応じて印刷する「プリントオンデマンド」(POD)の準備を進める。なくなる出版社の本を他社がまとまった形で引き継ぐ異例の試みだ。 創文社は1951年創業。「ハイデッガー全集」やトマス・アクィナス「神学大全」をはじめ、哲学や歴史、政治などの専門書で知られる。70年近くの間に約1800冊を世に出した。 しかし、事業は近年厳しさを増していた。元代表取締役の久保井正顕さんによると、少部数で高額な学術書は大学や地方自治体の図書館による購入が大きな割合を占めていたが、大学予算や研究
「本当にショックでしたね。『なぜ私が、数万人に1人という深刻な病気になってしまったの?』と、頭の中が真っ白になりました。」(写真提供=南浦護) 2019年4月、急性白血病であることを公表し、闘病生活を送っていた岡村孝子さん。抗がん剤治療と臍帯血移植を受け、同年9月に退院。少しずつ日常を取り戻しつつある今、5ヵ月におよぶ日々を振り返って思うことは(構成=内山靖子 写真提供=南浦護) 【写真】私を支えてくれた、母と娘の存在… * * * * * * * ◆病気知らずの私が、数万人に1人の病気に 50年以上生きてきて、大きな病気をした経験は1度もありませんでした。入院したのも、帝王切開で娘を産んだときだけ。徹夜で楽曲を作ったり、ライブツアーで全国を回ったりするため、体力や健康にはある程度自信があったのに、なんだか体調がおかしいと感じたのは2019年の3月のことでした。 母と娘と3人で金沢に旅行に
8月末、東京都練馬区にある遊園地「としまえん」が、多くのファンに惜しまれながら、94年の歴史に幕を下ろす。その歴史をふり返りながら、「ありがとう」と「さようなら」を伝えたい。 【写真】中国人観光客が、日本の電車・バスに「感動している」意外なワケ 自粛ムードと感染症蔓延のなか開園 「としまえん(以前は豊島園)」について語る際の定番の書き出しが「練馬区にあるのに、なぜ『としまえん』なのか?」である。 鎌倉時代から室町時代にかけてこの地域を治めていた豊島氏の居城(練馬城)があったことから「豊島園」と名づけられたとされているが、そもそも豊島氏の姓は「武蔵国豊島郡」に因んでいる。 「豊島園」開園当時の住所は東京府北豊島郡上練馬村だった。ちなみに練馬区が発足したのは1947年8月1日だが、練馬区はこの日を「板橋区から分離独立」した日ととらえており、2017年には「練馬区独立70周年」のイベントが行われ
〜〜首都圏を走った私鉄電車のその後2〜〜 首都圏や京阪神を走っていた当時の“高性能電車”の多くが、各地の私鉄路線に移り、第2の人生をおくっている。大手私鉄の「譲渡車両」2回目は、元西武鉄道の電車を紹介した。 西武鉄道のグループ会社へ移籍する電車が多いのは当然ながら、他にも複数の会社へ移籍して、今も多くが第一線を走る。そんな電車たちの“第二の人生”を写真を中心にお届けしよう。 【関連記事】 今も各地で活躍する「譲渡車両」に迫る〈元首都圏私鉄電車の場合〉 【注目の譲渡車両①】グループ会社の近江鉄道は全車が元西武電車◆近江鉄道(滋賀県)800系・820系↑近江鉄道820系は、元西武の401系。822編成は西武当時の “赤電”と呼ばれたリバイバルカラーで塗られ近江路を駆ける 大手私鉄の電車の中で各地の鉄道会社へ譲渡されることが多いのが東急、さらに西武鉄道の電車だ。まずは西武鉄道のグループ会社、近江
「松竹梅」のCM撮影を終え、笑顔の渡さん(左から3人目)と石原軍団の左から舘、宮下裕治、金子憲史、神田正輝、池田努=15年11月撮影 10日に肺炎で死去した俳優、渡哲也さん(享年78)を誰よりも慕った同じ石原プロ所属の俳優、舘ひろし(70)は、コロナ禍でお見舞いを遠慮していたため、臨終に立ち会えなかったことが14日、分かった。 トラブルやもめごととは無縁の石原軍団。1987年に裕次郎さんが52歳で亡くなった後は渡さんが中心となり、神田正輝(69)や舘ひろし(70)らをまとめた。 後輩が絶大な信頼を寄せる渡さんのリーダーシップの根底には裕次郎さんへの尊敬の念がある。 渡さんは71年に日活を退社後、複数のオファーを蹴って石原プロへ。当時、石原プロは映画の不振で多額の借金を背負っていたが、渡は石原プロを救うため、裕次郎さんに全財産の180万円を差し出したという。 また、渡さんは昨年のラグビーW杯
先祖を弔い「家」が連綿と繋がっていることを示す「お墓」は大きな変化の時を迎えています。「墓を誰が守るのか」が民法に書かれているのはご存じでしょうか? 民法第897条、墓の所有権は「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が継承する」とあります。しかし「子供がいない」という子孫の問題だけでなく、地方から都市への人口流出に伴って「子供が遠方にいるから」という社会背景もあり、「墓守りがいない」というのは全国どこでも起こっている問題なのです。 2019年11月。長野市北部の小布施町にある30基ほどのお墓が立ち並ぶ墓地の一角ででは、墓石を取り除く工事が進んでいました。依頼主は小林信一さん(83歳)と妻の孝子さん(73歳)。なぜ先祖の墓を取り除くのでしょうか? 「娘が二人いるのですが、遠方に嫁いでいます。将来、お墓を守り続けてもらえるかどうか不安ですし、永代供養をしてくださるお寺に(先祖のお骨は)移して、
呼吸器疾患で療養中だった俳優の渡哲也さんが8月10日午後6時30分に肺炎のため死去した。78歳だった。所属事務所の石原プロモーションが14日、発表した。昭和の大スターがまた1人、息を引き取った。 【写真】若い頃の渡哲也さん 1941年12月28日、島根県安来町(現・安来市)で生まれ、兵庫県淡路町で育った。高校卒業後に上京し、進学した青山学院大では空手道部に在籍した。 もともとは航空整備士を志望していたが、故・石原裕次郎さんに憧れ、一目会いたいと訪れた日活撮影所でスカウトされ、64年に日活入社。翌65年に映画「あばれ騎士道」で主演デビューを飾った。初対面の石原さんにあいさつをした時、握手とともに激励の言葉をもらったことに感動。後に自らも後輩たちに対して同じように振る舞うようになった。 68年に第1作が公開された「無頼」シリーズは最初の代表作となったが、71年に日活を退社。石原さんを慕って石原
今回の記録的な豪雨により、広い範囲で家屋の浸水被害が出ている。途方に暮れている人は多いだろうが、元の生活を取り戻すにはしばらく時間がかかる。無理のないペースで清掃作業をするには、どんな手順を踏んだらいいのか。台風シーズンを控え、都市部の住人も他人事ではない。 ◇ ◇ ◇ 「お風呂場まで泥水に漬かってしまった」「家具や家電が水でずぶ濡れ」「何から手をつけていいのか分からない」 ■どうせ長期戦「頑張り過ぎない」 水害被災地からは、こんな声が多数上がっている。すでに一部で復旧作業は始まっているが、元の生活を取り戻すまでには長期戦の覚悟が必要。過去の水害では、被害の軽い場合でも家の後片付けに1カ月、甚大であれば1年以上も要した。 「まずは慌てないことです。がんばり過ぎず、後片付けを手伝ってくれるボランティアの方々などに遠慮なく助けを求めましょう。今は他人の力を借りてもいいのです」 こう話すのは
マツタケが採れる山は、貧栄養土壌の証拠である(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート) マツタケが絶滅危惧種に指定される……このニュースが世間を駆け回った。 指定したのは、野生生物の専門家などで組織されるIUCN(国際自然保護連合)だ。絶滅の恐れのある野生の動植物を記載したレッドリスト最新版で、マツタケを世界的に生育量が減少していることから絶滅危惧種に加えたのだ。もっとも、正確には絶滅危惧2類(危急)への分類であり、危険度から言えば、上から三番目。「絶滅の危険が増大している」種という位置づけだ。 このため、もうマツタケは採れない?食べられない?と日本のマスコミは大騒ぎである。そしてマツタケが減った理由を、採りすぎたのか、森が荒れたからなのか、という声が広がっている。 だが、IUCNがわざわざ日本のマツタケ生産状況を心配して指定したわけではない。マツタケは世界的に分布し
企業の地下水利用にも影響か リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、ネット上には「静岡県がごねている」「静岡県のせいでリニア開業が遅れた」「静岡県にはリニアの駅がないからごねる」という批判のコメントが相次いでいる。 それに対して、現地で茶農家を営む男性に話を聞くと、 「大井川流域で生活する人にとって、リニアの問題は死活問題なのですが、知事の高圧的な物言いが災いし、県外の方からすると、単にわがままを言っているようにしか聞こえないのが残念です」 と語る。 静岡県の人口の6分の1に当たる62万人が大井川流域に住み、その人たちが使う水道水は大井川の水だ。工業用水、農業用水(灌漑される農地面積は水田と茶園を主体に1万2000ヘクタール)も大井川の恩恵に預かっている。 また、島田市、藤枝市、焼津市などが位置する下流の扇状地では、企業の地下水利用も盛んだ。約430の事業所が、約1000本の
政府は、二酸化炭素(CO2)を多く出す非効率な石炭火力発電所の9割弱を、休廃止の対象とする方針を固めた。114基ある非効率発電所のうち、100基程度を、2030年度までに段階的に休廃止したい考えだ。日本は、石炭火力を電力需要の増減に対応しやすい有力電源と位置付け、具体的な削減計画を示してこなかったが、転換する。 梶山経済産業相が近く表明する。国内に石炭火力発電所は計140基あるが、新型で発電効率の高い発電所(26基)は、維持・拡大する。 休廃止の対象とするのは、1990年代前半までに建設され、CO2の排出量が多い旧式の発電所。有識者会議を設置して、休廃止に向けた手法や道筋をまとめ、来年にも法令や制度を改正する方針だ。日本のエネルギー政策は、大きな転換点を迎える。
ニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」の2020年漁期(19年12月~20年5月)で、1キロ当たりの平均取引価格は前年を34・2%下回る144万円だったことが30日、水産庁への取材で分かった。過去最高の299万円だった2年前に比べると、半値以下の水準になり、高騰しているウナギの値段が安くなる可能性も出ている。 稚魚を池で育てて出荷する養鰻(ようまん)業者が国内漁師から仕入れた価格と、海外から輸入した値段の平均値。静岡や愛知、宮崎、鹿児島など主産地7県の取引価格をまとめた。国内外とも豊漁で、大幅に下がったという。 静岡県内で水揚げした稚魚の取引価格は1キロ当たり100万円で始まり、漁期最終盤は30万円まで下がった。 20年漁期に養鰻業者が池入れした稚魚は20・1トンで、前年より32・2%増加した。国内採捕量は過去最低だった前年の3・7トンから4・6倍の17・1トンに急増し、輸入量は前年の11・5
名古屋地裁では、傍聴席から「不当判決だ」という叫び声も。判決理由も驚くべきものだった Photo:PIXTA ● “自民党ヨイショ判決”では? 名古屋地裁に響く「不当だ」の叫び 2013年に行われた生活保護費減額の取り消しを求める訴訟が、生活保護で暮らす1000人以上の原告と約300人の弁護団によって、全国29地裁で行われてきている。 【この記事の画像を見る】 6月25日、最初の地裁判決が名古屋地裁で言い渡された。緊張感が漂う法廷に入ってきた角谷昌毅裁判長は、「原告らの請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする」という判決を述べると、足早に法廷から去った。傍聴席からは「不当判決だ」という叫び声が上がった。原告の完全な敗訴である。 2013年の生活保護費減額については、正当化することのできる合理的な理由はない。理由らしい理由がないのに引き下げが実施され、生活保護のもとでの暮らしは締
相次ぐ保育士ストライキ この数年、保育園における一斉退職が全国各地で話題になってきたが、緊急事態宣言が解除され、コロナ危機が一段落した現在、保育士に新たな動きが現れている。首都圏の複数の保育園で、保育士がストライキを実施しているのだ。 ほかにも、ストライキまでは至っていないが、コロナ被害を機に新たに労働組合に加盟し、経営者に対して団体交渉や宣伝活動を行う保育士が相次いでいる。 コロナ禍によって、保育園に何が起きたのだろうか。実は、共通して上記の保育士たちが掲げている要求がある。それは、休園・登園自粛期間中の休業補償の未払いの問題だ。この問題については、ジャーナリストの小林美希氏がかねてより指摘している。筆者もこれを「休園ビジネス」ではないかとして、労働相談の事例をもとに、記事で警鐘を鳴らしていたところだ。 「家も職も失った」30代保育士が訴える壮絶実態 コロナで税金を「着服」する保育園が続
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く