元厚生事務次官殺害事件は、やはり頭のおかしい男の場当たり的な殺人のようだ。ワイドショーでは朝から晩まで、いろんなコメンテーターがこの事件の「意味」を解説しているが、それは無駄である。「犬の仇討ち」というシュールな動機も、本当かどうかはわからない。むしろ統合失調症のような疾患を疑ったほうがいいだろう。 秋葉原殺人事件のときも、私のところにコメントを求める取材や、本で対談してくれという話が来たが、すべて断った。精神異常者はどんな社会にも存在し、彼らは一定の確率で殺人をおかす。その対象が家族であればベタ記事にしかならないが、「秋葉原」や「厚生省」という意味がつくと、メディアが大きく取り上げる。この種の報道は憶測ばかりで、犯罪の連鎖を呼ぶ有害無益なものだ。 こうしたワイドショー的発想の典型が本書である(リンクは張ってない)。内容は、およそ論評にも値しないバラバラの雑文の寄せ集めだ。本として最低