通り魔殺人/規範意識の向上が治安の要だ 今年に入って八件目の通り魔殺人事件が起こった。東京・八王子市のショッピングセンターで被害に遭ったのは二十二歳の女子大生だった。書店で勤務中に突然、包丁で切り付けられ、若い命を奪われた。何とも卑劣な犯行だ。こんな事件が多発するのは、命の尊厳がないがしろにされている証しである。社会規範の再構築が不可欠だ。 今年上半期の件数増加 三十三歳の容疑者の男は「仕事がうまくいかず、むしゃくしゃしていた。人を殺そうと思い包丁を買った。誰でもよかった」と述べている。事件の三日前には埼玉県川口市で十四歳の中三女子が父親を包丁で刺殺する事件も起きている。理由の分かりにくい殺人が多発し、国民の不安感は募る一方だ。 警察庁によると、今年上半期の刑法犯は六年連続で減少し、昨年同期比で5%減だ。これは警察と自治体、住民が三位一体で取り組んできた抑止対策の成果と言ってよい。ところが