某国立大学付属中学校で調理実習を参観したとき、包丁の持ち方の不器用さに驚いたことがある。 「お手伝いしないの?」と問うと、「しませーん。果物で食べるのはミカンやバナナ。リンゴはむかなければならないから食べない」「将来はコンビニのそばに住めば料理しなくていいでしょ」と、屈託のない声が返ってきて、おやおや和食が世界無形文化遺産になったのに、と心配になった。 もうひとつ気がかりなデータは、職業の背骨がはっきりせず、未婚率が高いことである。若年無業者(ニート)は63万人、フリーターは180万人で、新規大卒就職者の3割は3年以内に離職している。30代後半の未婚男性は36%、女性は23%となっている。 こうした現状に危機感を持つ教育界では、確かな人生の基盤づくりに「自然体験」「生活体験」が必要であることを以前にも増して提言し、実践も積み上げている。例えば、近所の子らとの遊びや冒険、手伝い、地域の祭り、
人格教育の重要性を訴へる超党派の「人格教育向上議員連盟」が近日中に発足する由である。本紙の記事の見出しでは「道徳議連」との呼び方を用ゐてゐたが、連盟結成の動機は、道徳教育の教科化を促進することにある由であるから、この仮称も適切であらう。 議連の掲げる目標には基本的に大賛成であり、その素志と努力とを心から支持するものであるが、目的実現の手段については筆者は少しく意見を異にしてゐる。議連の意欲に水を差す様なつもりは毛頭無いが、この様な異見も或(ある)いは参考にして頂けるかと考へて敢へてここに記しておくこととする。 ≪面白い話として記憶に≫ 道徳教育の教科化といふ懸案について筆者は元来、そして現在も消極的である。それは此を独立の教科とする場合、教育の現場では成績の公正な評価といふ甚だ重要な条件をどの様にして充足させたらよいか、教員各個の道徳観の差異も含めて種々の難問が生ずるであらう。又(また)教
言うまでもないことだが、自国の歴史・文化を踏まえた伝統的価値を伝えつなぐことは、国民教育の基本である。子供に対する親のしつけと学校の先生の教えは、格別重要な役割を担っている。 しかし左傾化した戦後教育の担い手たちは、日本の伝統的価値に基づく教育を「価値観を押しつける」「内心の自由を奪う」などと言って排除してきた。戦前の修身教育への反発も口実の一つにしている。彼らが道徳教育導入時に執拗(しつよう)に抵抗したのも、道徳教育を教科化しようとする昨今の動きに拒絶反応を示しているのも、全く同じ理屈によるものだ。「価値観を押しつけるな」と言いながら自分たちは祖国を貶(おとし)める自虐的価値観を平然と押しつけ、子供たちから日本人としての自信や誇りを奪い続けている。困ったものである。 私事に渉(わた)り恐縮だが、私が受けた親のしつけと恩師の教えに触れながらこの問題を考えてみたい。 私の父母は、40年ほど前
教科書採択問題で沖縄県教育委員会は、竹富町が石垣市などとの共同採択から離脱することを認めた。地域の教育事情を無視した決定であり、看過できない。 竹富町は石垣市、与那国町と3市町で八重山採択地区協議会をつくり、教科書を選んできた。 しかし、平成23年夏の採択で、協議会が中学公民教科書に育鵬社版を選んだ答申に従わず、24年春から東京書籍版の使用を強行している。 義務教育の教科書を小規模教委が共同で採択するルールを定めた教科書無償措置法に反し、地方自治法で最も強い是正要求が竹富町に出されている。法に従うのが当然だろう。 昭和30年代後半に無償措置法が導入されて以降、採択地区協議会の答申に従わなかった例はない。平成17年に茨城県大洗町が協議会の決定と異なる扶桑社版の中学歴史教科書を使おうとしたが最終的に共同採択のルールに従った。 沖縄県教委は違法状態を是正しようともせず、採択地区の区割りを変え、竹
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