ここ数年、世間は、悪い意味での「学力」ブームだ。 昨年9月、橋下徹大阪府知事が、全国“学力”テストの成績開示を渋る市町村教育委員会を「クソ」呼ばわりしたことは記憶に新しい。一昨年には、OECDが実施する世界規模の“学力”調査「PISA」での日本の成績が落ち続けていることがメディアを賑わせた。曰く「子どもの“学力”が低下している!」と。 では、本書のタイトルではないが、学力とはなんなのだろう。一般的に学力は知識量だと思われがちだ。テストの点数が高い人が学力が高いと見られる。だが、教育問題研究会「プロ教師の会」の一員にして、教育系大学院の客員教授である諏訪曰く、これは「余りにノーテンキ」な学力観、いや、人間理解なのだそうだ。 知識偏重の学力観の持ち主は、子どもは自発的に学ぶものだから、知識さえ与えればよいと考える。将来の目標があれば学ぶものだとも思っている。 しかし、人間は生まれた瞬間から「学
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