タグ

ブックマーク / kaikaji.hatenablog.com (8)

  • 中国思想における「絶対悪」と米中対立 - 梶ピエールのブログ

    vimeo.com 四連休の間、少し思うところがあって、4年前に講談社学術文庫に収録されたフランソワ・ジュリアンの『道徳を基礎づける』について、同書の訳者で、中国思想史の専門家である中島隆博と批評家の東浩紀が語り合ったゲンロンカフェのイベント映像(「カントと孟子が語り合うーー『道徳を基礎づける』講談社学術文庫版刊行記念トークイベント」)を視聴した(公開時には見逃していた)。 そして、その内容は現在のいわゆる「中国問題」を考える上でも示唆に富んでいると思ったので、そこで語られたことをベースに自分なりの考えをまとめてみたい。 bookclub.kodansha.co.jp 論じられた内容は多岐に上るが、個人的に現代の中国問題を考える上でとても重要だと感じたのが、後半部分で東によって提起された、中国思想における「超越性」と、そこで提起される「悪」の問題である。そこでの問題提起を僕なりに理解するな

    中国思想における「絶対悪」と米中対立 - 梶ピエールのブログ
    kaionji
    kaionji 2021/07/27
  • それでも中国は世界第二位の経済大国である(下) - 梶ピエールのブログ

    実質GDPが過大評価されるということはどういうことか (承前)さて、書の59ページ図表9では、中国経済の公式統計が様々な「疑惑」を抱えていることをもって、「中国の実質GDP成長率が1985年以降の30年間、毎年3%水増しされている」という「控えめな」仮定をおいたとしても、実際のGDPは公式統計の3分の1であり、日を下回ってGDPは世界第3位になる、と述べている。言うまでもなく、この主張は書のタイトルの根拠にもなっている。ただ悪いけど、これは典型的な「ダメな議論」だと思う。 「中国のGDP統計に怪しいところがある」というのは事実だし、「年によっては実質成長率が数%過大に評価されている」ことも十分あり得る話だ。だからといってそこから「30年もの長期にわたって3%過小評価され続けている」という結論は、どうやったって出てこない。 そもそも、「実質GDP成長率の水増しが少しずつ重なって、最終的

    それでも中国は世界第二位の経済大国である(下) - 梶ピエールのブログ
    kaionji
    kaionji 2017/10/29
  • 文化大革命の「新常識」 - 梶ピエールのブログ

    今年は文革50周年ということもあって、文革をテーマにしたシンポジウムや雑誌の特集、書籍など、地味ではあるが様々な再検証の試みが行われてきた。その中でも、12月23日にNHKBSで放送されたドキュメンタリー「文化大革命50年 知られざる“負の連鎖”〜語り始めた在米中国人」は画期的な内容だった。番組のベースになっているのは、徐友漁らアメリカ在住の「文革世代」のリベラル派知識人の証言と、スタンフォード大のアンドリュー・ウォルダー教授による、中国の地方誌に記された情報を丹念にデータベース化する中で得られた研究成果である。近年の文革研究は、明らかにアメリカを中心に進められてきた。彼ら在米の研究者たちによって、従来の常識を覆す新事実が次々に明らかにされてきたからである。日でも、ウォルダー教授の研究チームに加わっていた神戸大学の谷川真一氏らが近年精力的に研究成果を発表しており、その内容は研究者の間では

    文化大革命の「新常識」 - 梶ピエールのブログ
  • マルクスからカント、そしてヘーゲルへ - 梶ピエールのブログ

    経済大陸アフリカ (中公新書) 作者: 平野克己出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/01/24メディア: 新書購入: 34人 クリック: 844回この商品を含むブログ (31件) を見る すでにあちこちで高い評価を得ている書だが、個人的には「アフリカ問題を考えることは、これからの国際秩序のあり方について考えることだ」そんな感想をいだかせる内容の濃い啓蒙書だった。 現在のアフリカの経済成長といえば中国の経済援助や企業進出は切っても切り離せない関係にある。そんな中国の関与はアフリカ諸国にとって「ベストなものではないがベターである」というのが書を読んで得られた感想だ。確かに、中国アフリカ進出は完全に資源確保のためであって、何かご立派な理念がそこにあるわけではない。ただ、一方的に収奪しているわけではなく、間違いなく現地経済の成長に寄与している。その意味で中国アフリカ関与が「

    マルクスからカント、そしてヘーゲルへ - 梶ピエールのブログ
  • 梶ピエールの備忘録。:島耕作もびっくり!なぜ中国企業が作るものはこんなに安いのか

    『クーリエ・ジャポン』6月号に掲載された山形浩生さんの記事で、Economist誌の中国系自動車メーカーについての記事が紹介されていた。まあ一連のコピー製品を揶揄するような内容なんだが、それにしてもいくらコピーしているからといってどうしてそんなに安い(オリジナルの半額くらい)製品を作れるのか、謎だ、とEconomistも山形さんも首をひねっており、Economistのことだからそのうち何かもっともらしい分析結果を出すかもしれない、という言葉で締めくくられていた。 しかし、わざわざEconomistが謎を解いてくれるのを待つ必要はない!中国産業研究の分野ではたぶん世界のトップランナーである、丸川知雄さんの新著を読めばその答えが(あらかた)わかるからである。 現代中国の産業―勃興する中国企業の強さと脆さ (中公新書) 作者: 丸川知雄出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2007/05メデ

    梶ピエールの備忘録。:島耕作もびっくり!なぜ中国企業が作るものはこんなに安いのか
  • 悪の凡庸さについての報告:カンボジアのケース - 梶ピエールのブログ

    きちんとした感想を記すにはインドシナの歴史について知らなさ過ぎるわけですが。 ポル・ポト―ある悪夢の歴史 作者: フィリップショート,山形浩生出版社/メーカー: 白水社発売日: 2008/02メディア: 単行購入: 2人 クリック: 139回この商品を含むブログ (37件) を見る ポル・ポト。誰もがあの忌まわしい悲劇と結びつけてその名前を覚えていながら、彼が一体どんな人物なのか、自信を持って語ることのできる人はほとんどいないだろう。この分厚いを読めばポル・ポトという人物の具体的な像が浮かんでくるかというと、残念ながら必ずしもそうではない。読後も強く印象に残るようなエピソードや言動といったものがこの人物についてはそもそも乏しいからだ。書の大部分は、むしろ複雑極まりない第二次世界大戦後のカンボジア国内の政治状況やインドシナ半島を取り巻く国際情勢の解説などに費やされている。 もちろん、ク

    悪の凡庸さについての報告:カンボジアのケース - 梶ピエールのブログ
  • 汚職・成長・法 - 梶ピエールの備忘録。

    先日NHKBSで放送されたソリウス・サムラ氏によるケニア社会のドキュメンタリーは、物の「賄賂社会」というものがどういうものか余すところなく伝えていた。一言でいうと、ケニアではスラムのようなただでさえ貧しい人々が住むような地域であっても(というか、そういう地域だからこそ)、ほとんどの公共サービス(電気・水道・ビジネスの認可、建築の許可・・)が役人への賄賂なしでは受けることができないのだ。その賄賂の負担の重さは、スラムの住人の生活をますます苦しいものにしている。 また、来はそういった貧しい人たちのためのものであるはずの政府補助金の分配も、やはり賄賂によって左右される。活動実態のない「地域住民組織」やNGOが多数作られ、役人を買収することで正式な認可を受け、補助金を受け取ることが横行しているためだ。このことは、海外からの資金援助もこのようにして不正に着服されてしまう可能性が大いにある、という

    汚職・成長・法 - 梶ピエールの備忘録。
  • 中国との貿易は「格差社会」をもたらすか - 梶ピエールのブログ

    表題のテーマをめぐって、興味深い論争がアメリカ経済学者の間で行われているようだ。 元ネタであるこの記事によると、「中国との貿易(つまりは経済のグローバル化)は国内格差を拡大させる」という立場の代表的な論客としてあげられているのが誰あろうPaul Krugmanである。彼の最新の Brookings paperによると、1990年代以降の、中国のような低賃金労働の経済との貿易の急激な拡大がアメリカ国内の熟練労働者と単純労働者との賃金差の拡大をもたらし、国内の不平等を拡大させるという主張が展開されているという。この結論自体は国際経済学の標準理論であるストルパー=サミュエルソンの定理からも導かれるもので、むしろ経済学的にはオーソドックスな見解だといってよい。 こういった見解に対する反論が展開されているのが、Christian Broda と John Romalisによるこの論文である。 ちな

    中国との貿易は「格差社会」をもたらすか - 梶ピエールのブログ
  • 1