神奈川、東京、埼玉と首都圏を縦断するルートで、石炭を運ぶ貨物列車が1日1本だけ走っている。じつは全国のJRでも石炭列車は今やこの1本だけという鉄道遺産的な列車である。 昭和の戦後まで、旧国鉄では数多くの石炭列車(運炭列車ともいった)が走っていた。かつては全国で数多く走っていながら今はほとんど走らなくなった列車として、旅客列車でいえばブルートレインや夜行寝台列車、機関車でいえばSLのような歴史的価値ある存在といえる。 その石炭運搬列車(以後石炭列車と表記)は、鶴見線の扇町駅(神奈川県川崎市)を出発し武蔵野線、高崎線などを経由して秩父鉄道三ヶ尻貨物駅(埼玉県熊谷市)まで走っている。三ヶ尻貨物駅に隣接して太平洋セメント熊谷工場があり、この工場へ石炭を運び込む。 この鉄道遺産的列車の実態と共に、なぜ1本だけ残ったのか、運んだ石炭が何に使われているのか、なぜトラックではなく鉄道で運んでいるのかにも迫
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