牧太郎の青い空白い雲 連載521 GWの間、安倍晋三首相と日本に、何か空恐ろしいことが起こるような気がしてならなかった。 日米首脳会談後の共同記者会見。安倍さんが下ばっかり見ながら「日米同盟の歴史に新たな1ページを開いた!」と演説している最中、突然の突風。「棒読み首相」の手からカンニングペーパーが2、3枚、飛んでいってしまった。 不吉だった。 翌日、流暢(りゆうちよう)とは言い難い英語で安倍さんが演説をしたのを、メディアは「上下院で演説をしたのは安倍さんが初めて」とお世辞を並べた。こんな威勢のいい演説を聞かされると、空恐ろしいことが起こるような気がして......。 × × × ドイツの文学者、アンドリュー・ナゴルスキの『ヒトラーランド―ナチの台頭を目撃した人々』は世界7カ国で刊行され、いま、話題を集めている。 第二次世界大戦に米国が参戦する1941年末までの間に、ドイツを訪れたアメリ