novelcluster.hatenablog.jp * タイトル『カムタナクニ奇譚:雨止まぬ森の木々』 4,580 / 5,000字 * カムタナクニにはアマキタチという種類の樹がある。深い緑色の葉をつけ、幹は太く背も高い。とても大きな樹だ。だけどアマキタチのなによりの特徴は、雨を降らせる、というものだ。空から雨が降る時には水を蓄え、空が晴れた時には自らが雨を降らせる。アマキタチでできた森は、まるで泣いているように見える。 ユンデは、おじいさんの持っていたカムタナ植物大全という図鑑を読んでアマキタチのことを知った。その本には他にも不思議な植物がたくさん載っていたのだけれど、ユンデはなんでかこの樹が気になった。樹のくせに泣く、というところがおかしく思われたのかもしれない。 「じっさまじっさまぁ。なんでアマキタチって雨を降らせるのさ」 「ん、それはなあ、そういうもんだからじゃ」 「なんだよう