novelcluster.hatenablog.jp * タイトル『カムタナクニ奇譚:此方彼方を分かつ影』 4,987 / 5,000字 * カムタナクニには古来より遺された遺跡がたくさんある。中でもユンデやユンデのおじいさんたちが住んでいる東の大陸ハルシノには、いたる所に旧時代の遺物が残っている。というのも、ハルシノの歴史は遠い昔に一度断絶しているのだ。今となっては原因はわからないが、ハルシノに存在していたいくつもの文明は一度に滅んだ。そして荒れ果てた大陸にカムタナクニの各地から人々が移り住んできた。つまり、本来なら現代に受け継がれているべき技術や構造物が、伝える者のいないままに「遺物」となってしまったのだ。ユンデのおじいさんは昔カムタナクニ中を旅していたが、歳をとってからはもっぱらハルシノに散らばる遺跡の研究に日々を費やしている。 その日もおじいさんは近所の遺跡に関する研究結果をノート