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ブックマーク / yoghurt.hatenadiary.com (7)

  • ぜんぶ、ストIIのせい - 未来の蛮族

    USSR!飛行機がザンギエフステージに向けて飛び立つ瞬間に鳴り響く、あのボイス。 USSR。幼かった僕は、それがソヴィエト連邦の略称であることさえ知らなかった。 僕の辞書はナポレオンもびっくりするほど白紙のページばかりで、不可能も可能も全く掲載されてはいなかった。これから書き込んでいかなければならないことが山ほど残されていた。そんな僕が知っていた、数少ない真実。 それは、ストリートファイターに登場するキャラクターは、みな最高だということだった。以前、SNKのキャラクターデザインのことを、口を極めて罵ってしまった僕だけれども、格闘ゲーム界のもう一方の雄であるCAPCOMの「ストリートファイターII」のキャラクターデザインについては、悔しいけれど・おまえに夢中と言わざるをえない。 ダルシム、ブランカ……ほんとうに、僕は彼らが大好きだったのだ。 *1 けれど、彼らのことを思うとき、少し後ろめたく

    ぜんぶ、ストIIのせい - 未来の蛮族
    kamanobe
    kamanobe 2020/07/05
  • 息子の生命はあたらしい - 未来の蛮族

    息子が生まれてもう一年と半年が過ぎた。非力な自分の血を引いているとは思えないほど、息子はパワフルだ。まさか一歳児のパワーに対抗するために、大人が全力を出なさければならないとは思っていなかった。赤子の手を捻るって、イメージほど簡単じゃない。いっしょに風呂に入ると、赤ちゃんのくせに筋骨隆々なからだに驚く。ミニサイズの力士のような体型なんだ。知力もスゴい。当たり前といえば当たり前なのだが、学習能力は大人の百倍以上だ。当たり前といえば当たり前なのだが、たとえ何であれ、彼のみるものは全てあたらしく、すばらしいものなのだ。その辺に埋まっている測量点を見つけるだけでよろこびはしゃぎまわる。 そんな息子の姿をみていると、月並みな感想だけど、ああ、おれの生命は終わったんだな、と思う。古いからだを火にくべて生まれ変わる不死鳥が、生命のもっとも正確な比喩であることに改めて気づく。生命は遺伝子の乗り物とか、そんな

    息子の生命はあたらしい - 未来の蛮族
    kamanobe
    kamanobe 2015/07/18
  • 映画「風立ちぬ」と、なかったことにされた人生 - 未来の蛮族

    風立ちぬ サウンドトラック アーティスト: 久石譲,読売日交響楽団出版社/メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ発売日: 2013/07/17メディア: CDこの商品を含むブログ (47件) を見る国民的作家、なんて大仰な呼び方が許されるのは、この国では村上春樹と宮崎駿くらいのものだろう。その国民的作家の、最後の作品(?)になった「風立ちぬ」を、9月9日の時点で788万人が観たらしい。 http://mantan-web.jp/2013/09/10/20130910dog00m200015000c.html それで、恥を偲んで告白すると、おれはこの映画をみて、けっこうひどい勘違いをしてしまっていたんだよね。 「風立ちぬ」が、堀越二郎の半生と、堀辰雄の小説をミックスしたものであることは知っていたけれど、それは当然、堀越二郎の人生に堀辰雄の小説と重なるものがあるからだと思っていたのだ。

    映画「風立ちぬ」と、なかったことにされた人生 - 未来の蛮族
    kamanobe
    kamanobe 2013/09/18
  • カフェでよくかかっているJ−POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生/渋谷直角 - 未来の蛮族

    帯には「誰かをバカにするマンガと思ったら大間違いだ!」という久保ミツロウ先生の力強いお言葉があるし、著者である渋谷直角氏はあとがきで「彼らに対して、こちらの何かの一つの価値観や上から目線をもって小馬鹿にしたり、それじゃダメだ、と断定して描いているのではなく」とはっきりと記していて、それはけっして嘘ではないのだろうけども、この作品を読んで感じたのは、やはり強烈な悪意、だった。小さな世界でもがくサブカル民を単に馬鹿にするのではなく、ある種の愛情をもって描いていることは、特攻の拓の天羽セロニアス時貞に匹敵するほど感動的な宮沢賢治使いをみても明らかなのだけど、散りばめられた固有名詞の群れからは、それを上回るほどの悪意を感じてしまう。 「バンプオブチキンと空の写真ばかりアップしているブロガーの恋」や「ダウンタウン以外のお笑い芸人を基認めていないお笑いマニアの楽園」は、そもそもタイトルに固有名詞が入

    カフェでよくかかっているJ−POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生/渋谷直角 - 未来の蛮族
  • 祖父の長い長い旅 - 未来の蛮族

    それにしても、人類はなんと恐ろしいものを思いついてしまったのだろう。 その建物を前に、僕は人類の業の深さにおののいていた。 国会図書館。ここには、この国で発行されたほとんどの出版物が収まられているという。 インターネットは確かに偉大な技術だし、はじめて納豆をべた人間の勇気は永遠に称えられるべきだと思うけれど、人類史上最もヤバい思いつきをひとつだけあげるとするなら、やはりそれは「文字」にほかならないだろう。約五千年前に発明されたというこのテクノロジーは、はるか彼方の人間に声を届けることができるだけではなく、死者の声すら地上に留めおくことができるのだ。 時間と空間を超越し、生と死を弄ぶ。まさしく、神をも恐れぬ所業。人類の狂気の生み出した産物である。 僕は想像する。暗闇の中で、何百万もの生者と死者が、暗闇の中でじっと聴き手を待ちつづけている姿を。 何とも恐ろしい話だが、さりとて怖がってばかりも

    祖父の長い長い旅 - 未来の蛮族
    kamanobe
    kamanobe 2012/12/12
    祖父の長い長い旅 - 逆襲のブロガー
  • 祖父の長い旅 - 未来の蛮族

    土曜の夜は、祖父母の家で夕を過ごすことになっていた。 波の上という街に住む祖父母の家には、泊大橋という橋をこえていかなければならない。橋から見下ろす港にはたくさんの貨物船が止まっていて、なぜかそれらの甲板には決まって大きな犬がいた。 どうすれば船のうえで犬を飼うことができるのだろう? 子供ながらにそう思っていたし、それは今でも解くことのできない疑問だ。もしかすると、あれは夢でみた風景だったのかもしれない。 祖母がくれるお菓子はいつも亀田製菓の「雪の宿」だったこと、テレビにはクイズダービーが映しだされていたこと、祖父母と同居するS叔父が僕たち兄弟に折り紙を教えてくれたこと、幼い時分の記憶はどれも断片的で、はっきりせず、たよりない。 なかでも祖父の記憶はおぼろげだ。 僕がかろうじて覚えているのは、部屋の片隅で、しずかに泡盛を飲む祖父の姿だ。ほんとうに水のように酒を飲む人で、それで乱れるという

    祖父の長い旅 - 未来の蛮族
    kamanobe
    kamanobe 2012/12/12
    祖父の長い旅 - 逆襲のブロガー
  • レイシストの友人 - 未来の蛮族

    つきあいが途絶えてしまってもう長い年月が経つのだが、僕にはかつてレイシストの友人がいた。彼の差別対象は両手の指では足りないほど多岐にわたるものだった。 中国人。韓国人。ユダヤ人。女性。左翼。同性愛者。生活保護受給者。身体障害者。精神障害者。路上生活者。 まるで、自分と異なる属性をもった全ての人々が彼の敵であるかのようだった。 彼が沖縄人の僕を差別しなかったのは実に不思議なことだったが、いまとなっては何となくその理由がわかるような気がしないでもない。自分が攻撃対象ではないといっても、彼がところ構わず差別感情を撒き散らすのを見るのは、あまり愉快なものではなかったが、彼は友人としては、実に誠実な男であって、僕とのつきあいの中で、信義にもとるような振る舞いをしたことは一度たりともなかった。ユーモアの感覚にも優れていた。愛すべき点は確かにあった。 当時、僕も彼も学生で、彼は上野のコンビニエンスストア

    レイシストの友人 - 未来の蛮族
    kamanobe
    kamanobe 2011/11/30
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