タグ

ブックマーク / tmaita77.blogspot.com (34)

  • 40代前半男性の所得中央値

    2017年の『就業構造基調査』の結果が公表されました。昨日の14:30でしたが,私は10分ほど前からパソコンの前にへばりついて,今か今かと待っていました。 http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/index.html このブログでは幾多の官庁統計を分析していますが,『就業構造基調査』は最も活用しているものの一つです。この調査の目玉は有業者の所得を調査していることで,所得をキーにしたクロス集計表も多数アップされています。性別・年齢層別の所得分布,所得階層別の未婚率など,いろいろなことを明らかにできます。 調査でいう所得とは,「賃金,給料,手間賃,諸手当,ボーナスなど過去1年間に得た税込みの給与総額」をいいます(用語解説)。税引き後の年収とは区別される概念です。 私は,2017年のデータが公表されたら,今の自分の世代の所得がどうなっているかをまず明

    40代前半男性の所得中央値
    kamayan
    kamayan 2018/07/15
  • 女性の最貧国

    今から10年前の2007年,「ワーキング・プア」という言葉が流行語大賞に選ばれました。和訳すると「働く貧困層」,就労しているにもかかわらず,最低限の生活を営むだけの収入しか得られない人のことです。 OECDの国際成人学力調査「PIAAC 2012」では,収入のある人の年収を,国民全体の中での階層に割り振っています。以下の6つの階層区分です。 http://www.oecd.org/skills/piaac/publicdataandanalysis/ Less than 10 10 to less than 25 25 to less than 50 50 to less than 75 75 to less than 90 90 or more 一番下は,下位10%未満です。この最下層に属する者の割合を,性別・年齢層別にみると衝撃的な事実が分かります。下図は,男女の年齢曲線を,日とスウ

    女性の最貧国
    kamayan
    kamayan 2018/03/26
  • 自殺者と変死体

    警察庁統計によると,わが国の年間自殺者数は,98年に3万人を突破し,2003年に3万4427人とピークになった後は減少に転じ,2012年に3万人を割り,2016年では2万1897人にまで減っています。 https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jisatsu.html 「景気回復の影響」「自殺対策が功を成した」とか白書に書いてますが,実はこれには,統計上のトリックがあると,その道のプロが明かしています。 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/lifex/198569/1 自殺者の減少と呼応するかのように,変死体の数が増えているのだそうです。上記の記事でもデータが紹介されていますが,2006年と2015年の数値をグラフにすると,以下のようになります。 変死体と自殺者の合算

    自殺者と変死体
    kamayan
    kamayan 2018/02/06
  • 中年男性のプアとリッチの比較

    私は今年で40歳。働き盛りの時期ですが,ガツガツ稼いでいる人とそうでない人の分化も,さぞ大きいことと思います。 これは年齢現象であると同時に,世代現象ともとれるでしょう。私の世代は,大学卒業時に就職氷河期に直面したロスジェネです。学卒時に正規就職が叶わず,不安定な非正規雇用に留め置かれている人が相対的に多い世代でもあります。 働き盛りの年代における,持てる者と持たざる者の分化。われわれの世代では,これがひときわ顕著なのではないかと推察されます。 それは収入の多寡によりますが,そうした経済条件に違いにより,生活意識や将来展望などにも分化が起きているのではないか。今回は,その様をデータで可視化してみようと思います。 分析したのは,国立青少年教育振興機構『子どもの読書活動の実態とその影響・効果に関する調査研究』(2013年)のローデータです。読書の設問がメインですが,20歳以上の成人を対象に,諸

    中年男性のプアとリッチの比較
    kamayan
    kamayan 2016/11/06
  • 生まれが「モノ」をいう社会

    大それたタイトルを掲げました。緻密な統計解析を元にするならば一冊のができるテーマですが,各国の国民の意識という点から,国際的な布置構造図を描いてみましょう。 資料は,ISSPが2009年に実施した「社会的不平等に関する国際意識調査」です。この調査では,対象国の国民に対し,出生に際して重要と思う条件を答えてもらっています。 http://www.issp.org/page.php?pageId=4 私は,「裕福な家庭に生まれること」と「高学歴の親を持つこと」を重要と考える国民が,全体の何%いるかに注目してみました。横軸に前者,縦軸に後者の比率をとった座標上に,調査対象の41か国を配置すると,下図のようになります。「Essential(不可欠)」ないしは「Very important(とても重要)」と答えた者の比率です。*ドイツは,東西に分けて回答が集計されています。 右上には,中国が位置し

    生まれが「モノ」をいう社会
    kamayan
    kamayan 2016/04/05
  • 奨学金タイプの国際比較

    今日のお昼に,面白いツイートを見つけました。大学教育への公的支出のうち,奨学金が何%を占めるかの国際データです。 https://twitter.com/kabutoyama_taro/status/670377662485917696 注目されるのは,割合がナンボよりも,奨学金のメインが給付型か貸与型かです。日は大半が貸与型。国際標準から大きくずれています。 このツイートはすごく拡散しているようですが,「これはおかしいだろ」と誰もが日ごろ感じていることが,データではっきりと可視化されているからでしょう。私もこれを見たときは,「やはり」と膝をたたきました。 グラフのデータの出典は,OECD『図表でみる教育2014年版』となっています。OECDの教育白書『Education at a Glance 2014』の和訳です。私はもっと多くの国のデータも見たいと思い,原資料に当たってみました。下

    奨学金タイプの国際比較
    kamayan
    kamayan 2016/03/05
  • 女子生徒の専業主婦希望率の国際比較

    昨年の11月5日の記事では,15歳生徒の志望職業の国際比較をしたのですが,そこで分かったのは,日の生徒の志望職業未定率が高いことです。約2割の生徒が,30歳頃就いていたい職業が何かを明言できずにいます。 この分析に使ったのは,国際学力調査“PISA2006”の生徒質問紙調査のデータです。対象の15歳生徒に対し,「30歳頃の時点において,あなたはどういう仕事に就いていたいか」と尋ねています(Q30)。 職業の名称を自由に記入してもらい,それを後から分類するアフター・コード形式ですが,分類コードの中に「専業主婦(Housewife)」というものがあることに気づきました。このコードが振られた回答の比率をとることで,各国の生徒の専業主婦(夫)希望率を出すことができます。 私はこのやり方に依拠して,調査対象となった,56か国の女子生徒の専業主婦希望率を明らかにしてみました。「男は仕事,女は家庭」と

    女子生徒の専業主婦希望率の国際比較
    kamayan
    kamayan 2016/03/05
    2013年7月
  • 就業者の公務員比率の国際比較

    先日のニューズウィーク日版サイトに,「育児も介護も家族が背負う,日の福祉はもう限界」と題する記事を書いたのですが,読んでくださる方が多いようです。おりしも,認可保育所の4月入所可否が通知される時期ですので,時宜にかなったのでしょうか。 http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/02/post-4532.php この記事でみたところによると,北欧の福祉は公型,日の福祉は「私」型と性格づけられるのですが, 保育所の公私割合もそうなっているでしょう。 保育や介護といった福祉は,あまり民間に委ね過ぎるのは好ましくなく,基的に「公」が担うのがよしとされます。しかし日の現状は,それとは隔たっていて,たとえば保育所の大半は私立です。 ここで,ふと素朴な疑問がわきます。働いている人のうち,公務員は何%くらいかです。それは『国勢調査』や『就業構造

    就業者の公務員比率の国際比較
    kamayan
    kamayan 2016/02/28
    日本の公務員は少なすぎる
  • 大学受験の50年史

    18歳人口の減少により,受験競争は緩和しているといわれますが,それをデータで可視化してみましょう。 文科省の『学校基調査』には,その年の大学入学者数と大学入学志願者数が掲載されています。浪人混みの数値です。ここでいう大学とは,4年制大学であり,短大は含みません。 http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm 私は1995年春の受験生ですが,この年の大学入学者は56万8576人,大学入学志願者は87万7313人です。前者は,競争を勝ち抜いて大学に入れた合格者です。残念ながら不合格になった人は,後者から前者を引いて30万8737人と見積もられます。入学志願者に占める比率は35.2%です。これは不合格率に相当します。 へえ,志願者の3人に1人が辛苦を舐めていたのだなあ。私の世代(76年生まれ)はポスト団塊ジュニア世

    大学受験の50年史
    kamayan
    kamayan 2016/02/25
  • どの学習指導要領で育ったか

    年が明けました。今年もどうぞ,よろしくお願いいたします。 2015年は戦後70年に当たります。この節目の年のスタートということで,特定の観点から戦後史を振り返ってみようと思います。具体的には,学習指導要領の変遷史の上に,各世代の軌跡を書き込んでみます。タイトルのごとく,それぞれの世代は「どの学習指導要領で育ったか」を可視化する試みです。 学習指導要領とは教育課程の国家基準ですが,その内容は時代ともに改訂されてきています。大よそ10年間隔です。その変遷史をみると,能力主義の考え方のもと,授業時数や教育内容がうんと増やされた時期もあれば,その逆の時期もあります。後者の学習指導要領で育った世代は,「ゆとり世代」などといわれたりします。 どの学習指導要領で育ったかは,各世代の人間形成に少なからず影響していることでしょう。学習指導要領をして「国民形成の設計書」となぞらえた論者もいますが,その規定力(

    どの学習指導要領で育ったか
    kamayan
    kamayan 2016/01/29
  • 都内23区の子どもの体力地図

    1月9日に,2013年度の『東京都児童・生徒体力・運動能力,生活・運動習慣等調査』が公表されました。そこでは,都内の公立小・中学生の体力テストの結果が市区別に公表されています。これはスゴイ。 http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/pickup/seisaku_sport-6.htm 調査では,握力,上体起こし,50m走,立ち幅跳びなどの種目の記録を合成して総合スコアを出し,それに依拠して,A~Eの5段階の評定がなされます。私は,公立小学校4年生男子のうち,AもしくはBの評価を得た児童の比率を,都内の23区別に出してみました。 以前に,子どもの学力を都内の地域別に計算したことがありますが,はて,体力のほうはどれほどの地域差があるか。下の図は,結果をマッピングしたものです。 http://ci.nii.ac.jp/naid/110006793455 大都市という基

    都内23区の子どもの体力地図
  • 父親を超えられない社会

    「国勢社会調査プログラム」(ISSP)という組織が毎年,特定の主題を据えて国際意識調査をしているのですが,2009年の「社会的不平等」第4回調査と2012年の「家族とジェンダー」第4回調査のローデータを入手しました。 http://www.issp.org/index.php 上記のISSPサイトにて,ローデータが公開されています。氏名,メアド,使用目的を入力するだけで,誰でもダウンロードできます。SASとSPSSのファイルでアップされています。私はSPSSを持ちませんで,昨日大学でDLし,エクセルに変換しました。 私の場合,SPSSよりエクセルのほうが使い勝手がいいのですよね。いろいろ小回りも利くし・・・。このとおり完全に自己流ですので,どっかの研究所の調査員に雇われても,お役に立てそうにありません。 ともあれ自分のパソコンに移しましたので,自由自在にデータを分析できます。2009年の「

    父親を超えられない社会
    kamayan
    kamayan 2015/10/09
  • 高校生の家庭環境・学力・学校適応

    わが国の高校は,有名大学進学可能性に依拠して精緻に階層化されているのですが,階層構造上の位置に応じて,生徒の家庭環境,学力,はては問題行動の発生頻度が異なることはよく知られています。 まさに制度的社会化とでも呼べる現象ですが,国際学力調査PISA2009のデータを使って,それを可視化してみましょう。この調査の対象は15歳生徒であり,日では,高校1年生が回答しています。 https://pisa2009.acer.edu.au/ 調査は,読解力,数学的リテラシー,科学的リテラシーといった学力に加えて,対象生徒の家庭環境や学校生活の状況も調べています。まずは,後者の生徒質問紙のデータをもとに,高校1年生生徒の家庭環境をみてみましょう。 ここでの関心は,在籍する高校のランクによる違いです。ランクを明らかにするのは容易ではないですが,高い学力をつけることに対して,保護者からどれほど期待があるか

    高校生の家庭環境・学力・学校適応
    kamayan
    kamayan 2015/10/04
  • 県別・性別の大学進学率(2015年春)

    この記事では,2013年春の県別・性別の大学進学率を出していますが,データを更新して,今年春の同じデータを作ってみました。男女差を分かりやすくするため,男子の進学率が女子の何倍かという倍率も添えました。 大学進学率は,各県の推定18歳人口に占める,当該県出身の4年制大学入学者の比率です。分子には過年度卒業生(浪人経由者)も含みますので,浪人込みの進学率ということになります。詳しい計算方法は,冒頭のリンク先の記事をご覧ください。文部科学省の「学校基調査」でも採用されている,公的な算出方法です。

    県別・性別の大学進学率(2015年春)
    kamayan
    kamayan 2015/08/30
  • 首都圏の年収地図(2013年)

    この調査では,都道府県よりも下った区市町村のレベルにおいて,世帯単位の年収分布が明らかにされています。したがって,このデータを加工すれば,区市町村別の平均年収も計算できる次第です。 県別の平均年収のデータはよく見かけますが,それよりも下りた区市町村レベルのそれはあまり知られていないのではないでしょうか。まあ,ネットアンケートによる「お金持ちの地域はどこ?」みたいな記事はありますが,信頼度の高い官庁統計を使って地図を描いてみるとどうでしょう。今回は,それをしてみようと思います。 調査では,世帯の年間収入が調査されていますが,用語解説によると「世帯全員の1年間の収入(税込)」だそうです。給与のほか,ボーナスや年金なども含むトータルな収入額です。私が住んでいる多摩市(東京)の総世帯の年収分布は,以下のようになっています。年収が判明した63,870世帯の分布表です。

    首都圏の年収地図(2013年)
    kamayan
    kamayan 2015/03/02
  • 同性愛への寛容度の国際比較

    東京の渋谷区が,同性愛カップルに対し「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行する方針を打ち出しています。全国初の試みだそうです。 http://www.asahi.com/articles/ASH2D63DQH2DUTIL03Z.html わが国では,憲法にて「婚姻は,両性の同意のみに基づいて成立」(第24条1項)と定められていますので,同性の結婚はできないことになっています。そこで,「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行し,性的少数者の権利を保護しようということなのでしょう。 しかるに世界を見渡せば,同性婚が認められている社会もあります。イギリス,フランス,オランダ,スペイン,スウェーデンなど・・・。 http://matome.naver.jp/odai/2136724610721983601 これは制度の話ですが,国民の意識という点ではどうでしょうか。『世界価値観調査』(201

    同性愛への寛容度の国際比較
    kamayan
    kamayan 2015/02/13
  • 東大生の家庭の年収分布

    1月31日,フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が東京大学で講演されたそうです。氏の大著『21世紀の資』を読んでいるのですが,4分の1ほどで止まっちゃってます・・・。 上記の記事に書いてあったのですが,『21世紀の資』では,米国ハーバード大の学生の家庭の平均年収が,全米上位2%に相当するというデータが示されているそうです。これに触発されて,東大学生の家庭の年収分布図を今朝ツイートしたところ,見てくださる方がたくさんおられます。そこで,ブログにも載せておこうと思います。 https://twitter.com/tmaita77/status/562025488399364096

    東大生の家庭の年収分布
    kamayan
    kamayan 2015/02/02
  • 大学教員の職務時間の変化

    前期の授業が始まりました。非常勤先の大学で,知っている専任の先生に会うと,みなさん疲れた顔をしておられます。「(忙しくて)もうシャレになんねえよ・・・」。エレベータに同乗したある先生は,こんなことをつぶやいておられました。 私は非常勤講師ですが,専任の先生方は確かに大変そうだな,という印象を持ちます。そうした印象を検証できるデータをみつけましたので,今回はそれをご報告します。 用いるのは,文科省『大学等におけるフルタイム換算データに関する調査』の結果です。大学,短大,および大学附置研究所等の教員の年間職務時間が明らかにされています。調査対象の多くは4年制大学教員ですので,以下では単に大学教員ということにします。 http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa06/fulltime/1284874.htm 最新の2008年度調査によると,集計対象となった

    大学教員の職務時間の変化
    kamayan
    kamayan 2014/12/27
  • 都道府県別の大学進学率のジェンダー差

    今日の朝日新聞に「生まれながらの境遇,乗り越えろ,性別で地域で学びに差」と題する記事が出ています。生まれながらの境遇で教育機会に格差が出ているという趣旨ですが,私が計算した,性別・都道府県別の大学進学率のデータが掲載されています。 http://www.asahi.com/articles/ASGCT55SJGCTUTIL02L.html 記事には,大学進学率のジェンダー差が大きい5県と小さい5県の表が掲げられています。前者は,北海道,山梨,和歌山,埼玉,鹿児島です。後者は,熊,岡山,東京,高知,徳島です。しかるに,他の県はどうかという関心もあるでしょう。記事には,全県の分を載せるスペースがなかったようですので,ここにてそれをご覧に入れようと思います。上記の記事の補足です。 まず大学進学率の概念ですが,私が計算したのは,18歳人口ベースの4年制大学進学率です。2014年春の大学入学者数を

    都道府県別の大学進学率のジェンダー差
    kamayan
    kamayan 2014/12/04
  • 正社員の離職理由

    先日,新規学卒者の離職状況に関する資料が厚労省より公表されました。それによると,2010年4月の入職者のうち,3年目となる2013年3月までに辞めた者の率は,高卒で39.2%,大卒でも31.0%になるそうです。3年以内の離職率,大卒で3割ですか。 http://www.mhlw.go.jp/topics/2010/01/tp0127-2/24.html これは全業種をひっくるめた値ですが,宿泊・飲業に限定すると,3年以内の離職率は大卒で51.0%,高卒だと66.6%にもなります。この業界では,大卒の2人に1人,高卒の3人に2人が,3年以内に離職している計算になります。 このように離職率は高いのですが,離職の理由はどういうものなのでしょう。まあ若者は,労働条件が悪い(キツイ)というものが大半を占めると思われますが,それだけではありますまい。女性の場合は,育児離職も少なくないと思われます。

    正社員の離職理由
    kamayan
    kamayan 2014/10/23