亀山郁夫訳のドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(光文社文庫)が、古典新訳としては異例とも言うべき売れ行きを示しているようで、それに先導されるように、にわかにドストエフスキー・ブームが起きているらしいが、その余波ではないかと思われるが、亀山訳ドストエフスキーの「誤訳問題」が一部のロシア文学者、ないしはドストエフスキー研究家の間でひそかに注目されいるらしく、先日は、週刊誌「週刊新潮」の記事にもなったらしい。「らしい……」と言っても、実は僕も読んだのだが、僕などは翻訳には多少の誤訳はつきもので、別に大騒ぎする必要もないと考えるが、一部のドストエフスキー研究家の中には、亀山訳「カラマーゾフの兄弟」が、爆発的に売れていることへの複雑な感情もあって、かなり「誤訳問題」がヒートアップして、各方面に波及しつつあるらしい。というわけで、ドストエフスキー研究と言えば、日大芸術学部の清水正(まさし)教授の膨