政府は「アベノマスク」とやゆされた布マスク配布を巡り、介護施設向けの追加配布を取りやめ、一部を備蓄に回す。迷走を重ね、安倍晋三政権の新型コロナウイルス対応の拙さの象徴となった事業を、数字に焦点を当てて検証した。 「全ての施設に一律に配布してきたが、現状を踏まえ、希望する介護施設等に随時配布したい」。加藤勝信厚生労働相は7月31日の記者会見でこう表明した。 介護施設向けの8千万枚の追加配布が明らかになったのは、27日。菅義偉官房長官は28日の会見で「継続配布は有意義」と訴えたが、「使い捨てマスクを入手でき、布マスクは必要ない。高機能マスクや医療用ガウンを届けてほしい」(札幌市の社会福祉法人)などの批判が噴出し、わずか4日で転換に至った。 布マスク配布は、首相周辺が「洗って繰り返し使えるので、全世帯に配れば国民の不安が消える」と進言し、4月1日に発表。「小さい」「エープリルフールかと思った」な