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ブックマーク / aimy.or.tv (1)

  • 夜の駆逐艦

    夕闇の迫った空は一面黒雲に覆われ、今にも降り出しそうであった。風はますます強まって波が砕け白波を吹き飛ばしている。山のようなうねりが迫っては艦を高く押し上げては去ってゆく。そのたびに艦は悲鳴をあげ、奮いたっては進んで行く。飛沫が冷たい、濡れた顔を掌で拭いながら居住区に入った。 「今夜は時化るぞ、シバ顔色が悪いなしっかりせんか。これくらいの波で艦は沈みゃあせん、元気を出せ」 「まあ大船に乗ったつもりで安心しろ」 ゼンイチ組からひやかされていると、 「訓練、配置につけ」 緊急ブザーを背中に聞いて、一番砲塔に駆け上がった。 「合戦準備夜戦に備え」 今度は夜戦訓練である。といっても外が見えるわけではないから砲塔内では昼戦と変わらない。全員戦闘配置についたものの、訓練は一向に始まろうとしない。どうしたものかと思っていたところ、砲塔の下の出入り口から声がかかった。 「夕は戦闘配

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