画像:関連資料公開画像 文献:『渋谷文庫目録-海軍造機技術資料-』渋谷文庫調査委員会 「臨機調事件」とは旧海軍を揺るがした大問題で、本文庫中の「旧海軍技術資料」中でも渋谷氏自身の記述があるが、詳細な故に大局を掴み難いので、便宜上ここで簡単に紹介しておく。 臨機調事件とは、もともと艦本式タービンが旧海軍の伝統の中で、諸先輩、なかんづく渋谷の卓越した能力、人柄と非常な努力により、国産技術として自立していたればこそ起きたことである。それは結果的には、艦本式タービンの実艦による徹底的信頼性確認実験である。しかし直接的には、艦本式タービンの翼車設計ミスによる翼車振動で翼が折損するとの誤認に基づいて、主力艦から水雷艦までの全艦艇の大部分のタービンの改造を決定したもので、それを招来した責任者として、渋谷氏は他の数名とともに、懲罰を受けられた。 艦本式タービンは制定以来の自立技術として順調に発達し、多少の