安定性試験では、薬を保管する際の温度や湿度などに関する基準が2013年に厳格化されていた。これにより試験に不適合となる薬が増えたことも、現場がカプセルの詰め替えを継続した動機となったようだ。 一方、調査報告書は一連の不正は現場の認識の甘さが原因であるとして、「上層部が関与して組織的に行われた行為であったとまでは認められない」と結論づけている。報告書がいう“上層部”とは、本社の社長や会長、不正があった工場の責任役員や工場長などを指す。 組織的な不正だったか否かは、行政処分の重さにかかわってくる。厚生労働省は一般的に、「組織的な行為だったことや、健康被害があるような悪質な場合」について業務停止命令などの行政処分を下す。そうした事実が認められなければ、沢井製薬の不正に対しては行政指導にとどまる可能性もある。 現在、不正があった工場のある福岡県と、本社所在地である大阪府が調査を進めており、その結果