日本の2014年度の当初予算では、国債の発行額は41兆円で年度末の残高は780兆円と見込まれている。国債残高の累増が止まらない現状について、孫子の代まで借金が残ってしまうから財政再建を急ぐべきだという主張があるのに対して、「借金だけ残るのではなく金融資産も残る」、「政府の借金は国民の資産である」、「国債発行は右のポケットから左のポケットに金を移すようなものだ」、「夫婦間の貸し借りと同じだから借金ではない」など様々な反論がある。 これらの指摘や比喩はそれぞれ国債発行の一面を捉えたものに過ぎない。こうした表現から、様々な誤解が生まれていることは明らかだ。ひょっとしたら発言者は、一面のみを強調することで意図的に人々の誤解を誘おうとしているのではないか、と思えることもある。誤解の上に成り立つ安定は砂上の楼閣で、それが崩れる時には大きな混乱を引き起こす恐れが大きい。