池波正太郎『男の作法』という小さな本があります。1981年 (昭和56年) に出版されましたから、もう30年以上の本です。だから古い。現代と価値観が合わない部分もあります。 しかし、この本『男の作法』は、いささかも価値を失っていないと考えます。私はとくに若いサラリーマンに読んでほしいなと思います。 池波正太郎『男の作法』は、私たちの衣食住について書かれた本です。お寿司屋さんでの振る舞い方、トロの頼み方、結婚観、靴みがき、日記の使い方などなど、いま風にいえばライフハック本とでもいいましょうか。しかしそのようなバズワードではとらえきれない男の「粋」がこの小さな本にはあります。 この本の冒頭では「鮨屋に行ったらシャリだのアガリなどといわずに、ふつうにご飯・お茶と言え」というアドバイスがでてきます。シャリ、アガリ、オテモト、ムラサキは元々は鮨屋仲間の隠語です。それをお客さんがしったかぶりしていうな