新型コロナウイルス感染症対応によるオンライン授業開始で、大学の現場での認知度が急上昇したものの一つが、教材の著作権だ。著作権は知的財産権の一つだが、大学で問題になる対象は学生のコピー&ペースト、コンピュータープログラムや芸術作品、論文など多様で複雑だ。帝京大学の木村友久教授・共通教育センター長と、山口大学の小川明子教授・知的財産センター長に、今の大学現場で重要な著作権問題について寄稿してもらう。 【状況に合わせて】 大学の知的財産の管理は国立大学法人化後に、文部科学省の知的財産本部整備事業が行われたことから、特許に代表される産業財産権については体系的な処理が行われるようになった。現在では特許実施契約において、定型的な文書書式や文面に固執する大学は少なく、状況に合わせるようになっている。一方、著作物の管理は大学全体として統一した処理が行われていないのが現状だ。一般に学内の知的財産センターでは