野田新首相が、QBハウスで1000円で散髪したことが話題になっています。けさの池尾さんのむずかしそうな記事は、実はこれに関係があります。 この記事は私の「今は『円高』ではない」という記事へのコメントだと思いますが、そのコメント欄でも補足したように、これは円高が(リフレ派のいうように)貨幣的なデフレだけで起こっているとすれば問題がないという意味で、実際にはもちろんそうではありません。大事なのは一般物価の下がるデフレではなく、相対価格の変化なのです。 これは国際経済学では、バラッサ=サミュエルソン効果としてよく知られている話です。部門間で生産性上昇率に大きな格差がある場合、新興国との競争で貿易財の価格が下がると、国内の労働需要が減って賃金が下がり、非貿易財の価格も下がるのです。実際に日本の実質賃金も下がっており、これによって散髪の料金を4000円も取らなくても、1000円で採算が合うようになり