★「君、才能ある?」 僕の大学の師匠は女の人で、旦那さんは別の大学の建築学教授なのだが、結構強烈な人だった。ご自宅に遊びに行ったときのこと。連れていった建築学科の友人に、開口一番「君、才能ある?」と聞いたのだ。 僕の友人はびっくりして曖昧な微笑を浮かべるのが精一杯だった。普通、面と向かっては聞かないよな。しかも会った瞬間には。 彼曰く「本当に才能がある建築家って、自分で分かっているし、人にも自分が才能あるって言うよね」。 うーんそうかも。普通の大学からプロのチェンバロ奏者になった変わり種の人も、前に「在学中に自分の才能を確信したから、普通のルートを踏み外せた」と言っていたし。 今から7年くらい前の話で、当時も僕はプロジェクトワークにどっぷり浸かっていた。 深く考え込んでしまったのは、「おい、君にはプロジェクトの才能あるのか?」と聞かれたら、やっぱりYes、とは言えないよな・・と思ったからだ