「昨日チョコレートもらった人〜、手をあげて〜」 次の日、担任の女の先生が教壇に立って、自分が手を手を挙げながら言った。 小学一年生にとってバレンタインデーなんて、お遊びみたいなものだから構わないだろうという大人の発想なんだろうが、なんでこの先生、こんなにデリカシーがないんだ。 とんちゃんは本気で先生に腹が立った。 教室のみんなは誰かいるかとキョロキョロしながらクラスを見渡している。 ここは知らんふりをしよう。隣の席に座っているトモ君の顔が見られない。私が手を上げないで、しらばっくれていることをなんと思うだろう。傷つけちゃったかな。でもこの状況で手を挙げればこの先生は、もっとデリカシーなくズケズケと聞いてくるもん。絶対にヤダ。 とんちゃんは、私は何にも関係ありませんというような顔でじっと前を向いていた。 早く、この話題、終われ。早く出席とってくれ。 するとその時。 「はい」 なんと隣に座って